ハンセン病と隔離の歴史学ぶ
宮古南静園 ボランティア講座
宮古南静園ボランティア講座が20日、同園で開かれた。5月20~23日まで、名護市と宮古島市で行われる「2011ハンセン病市民学会」のプレ企画として実施。医学博士で神戸大学医学部非常勤研究員兼アイルランガ大学客員教授の和泉眞蔵博士が「社会医学の視点で見た日本の近代ハンセン病対策」と題して、ハンセン病と強制隔離政策の歴史について講話した。
和泉博士は「らい菌は極めて病原性が弱いため、通常の防御免疫能を持つ多くの人には感染しても発病しない」と話し「日本や欧米ではハンセン病は事実上消滅した」と説明した。
病原性が弱い感染症にもかかわらず、らい予防法による強制隔離政策が1996年まで続いたことについて、和泉博士は「80年代からWHO(世界保健機構)方式の多剤併用療法などの化学療法が普及した。この時期に、いわゆる専門家がとった行動の責任は大きい。これらの専門家が正しい行動をしていれば現在の日本のハンセン病は全く違う姿になっていた」と強く指摘した。
さらに「およそ1世紀にも及ぶ日本のハンセン病対策の重大な過ちを教訓とし、感染症患者と共存する社会の在り方を考える努力が求められている」と結んだ。