来期のクルマエビ養殖休止/宮古島漁協
理事会で方針決める/施設のウイルス量測定へ
平良高野にある車海老養殖場のクルマエビに急性ウイルス血症(PAV)の感染が広がり、養殖していた約140万匹が全滅した件で、宮古島漁協(栗山弘嗣組合長)は10日、理事会を開き、来期、養殖事業を休止することを決めた。休止期間中、養殖池と周辺海域のウイルス量測定と生物調査、徹底消毒をしていくとしている。開始から30年近く続いてきた養殖事業が中断するのは初めて。
理事会では理事の多くが「来期の休止やむなし」との意見だったという。栗山組合長は「また来期も同じようなことになれば、損害が出る。休止しても多少の維持費はかかるが、そこは経営判断として支出してもいいという意見だった」と述べた。
また2023年以降については「今後の予測を立てるのは判断材料不足と、市への養殖池機能保全計画策定の再調査を要請していることから継続審議となった」と説明した。
今期、養殖場では久米島町の種苗センターから稚エビを仕入れ、夏場から育てていた。10月初旬の検査でPAV感染が確認され、その後、爆発的に広がり、ほぼ全滅した。PAVはカニやエビなど甲殻類にのみ感染する。食べても人体には影響がない。
PAV感染は同池で2016年に初めて確認され、その後は毎年確認されている。これまでは確認時期が11月下旬で、感染した個体を取り除いて出荷してきた。今期は生育途中の10月に確認され、広がったことから、1993年の養殖開始以来、初めて出荷ゼロになる。
養殖場では例年、出荷が終わる3月を待って、池の水を抜き、下砂をかき混ぜて天日で干し、塩素材などで除菌する。初確認以降も対策を徹底してきたが、今期、早い時期に感染が広がった原因は完全に特定できていない。
ウイルス感染以前は出荷量が20㌧超で売上げも1億円を超えていた。確認以降は出荷量が減り養殖事業は赤字が続き、昨年は13㌧、約6000万円にとどまった。今期は出荷がなく、約1億円の損害になる。