口蹄疫発生を想定し演習
侵入リスクに備え、防疫体制強化/県や市などが役割確認
口蹄疫など家畜伝染病の防疫演習が16日、市総合体育館で行われた。県や市といった行政機関と畜産に関係する団体の職員らが参加。人、モノの移動の活発化で高まる侵入リスクに備え、口蹄疫の発生を想定した演習で防疫意識を高めた。演習では初めに、宮古家畜保健衛生所の職員から口蹄疫などの特定家畜伝染病の概要などの講義を受け、その後実働演習として「防疫ステーション運営と防護服着脱訓練」を行った。
特定家畜伝染病は家畜伝染病のうち、特に総合的に発生の予防およびまん延防止のための措置を講ずる必要があるとして農林水産省が定めるもの。特に強い伝染力で、発生した場合は殺処分が義務付けられている。▽豚熱▽アフリカ豚熱▽口蹄疫▽牛疫▽牛肺疫▽牛海綿状脳症(BSE)-などがある。
この日は市内の肉用牛繁殖農場で口蹄疫が発生したと想定。宮古家畜保健衛生所や県宮古農林水産振興センター、市畜産課がそれぞれの役割などを確認した。また、発生農場への作業員の出入りを一元化し、ウイルスの拡散防止を図るための防疫ステーションの設置から防疫作業所への移動の流れなどについても座学で学習した。実働演習では実際に防護服を着脱した。
演習に当たり、県宮古農林水産振興センターの砂川喜信所長は「豚熱は県内でも発生し、鳥インフルエンザも国内で発生している。どの地域で、いつ発生してもおかしくない状況。侵入防止、まん延防止を徹底しよう」と強調した。
また、被害が甚大になる口蹄疫については「2010年に宮崎で発生して以来国内での発生はないが、アジア地域では継続的に発生しており、今年10月には中国で確認されている。現在は海外からのクルーズ船やチャーター機が止まっている状況なので発生リスクは低いが、新型コロナウイルス感染症の落ち着きで、再開されることが想定されることから宮古島でも危機感を持って対応していかなければならない」と訴えた。