前市長、無罪主張し結審
来年2月22日判決/贈収賄事件
【那覇支社】宮古島市上野の陸上自衛隊駐屯地の用地取得をめぐる贈収賄事件で17日、収賄側の前宮古島市長、下地敏彦被告(76)の第6回公判が那覇地方裁判所で開かれ、弁護側が最終弁論を行い結審した。弁護側は、現金600万円は受け取ったと認めつつも、関係修復等が目的で、「賄賂として受け取ったものではない」として無罪を主張した。判決期日は、来年2月22日。
検察側は、3日の第5回公判で「市政の公正さ、透明性に対する信頼を著しく損なう。宮古島市にとどまらず広く社会全体に及ぼした影響は大きく、刑事責任は重い」として懲役3年、追徴金600万円を求刑している。
同事件では、贈賄側の千代田カントリークラブ(CC)前社長、下地藤康被告(65)に対して、9月22日に懲役1年6月、執行猶予3年の判決が言い渡されている。
17日の最終弁論で弁護側は、藤康被告からの現金600万円の提供について「(敏彦被告は)謝礼の趣旨という認識はなく、市長としての自身と関係修復を図るためのご機嫌取りに他ならないと認識していた」と述べ、賄賂の認識はなかったと強調した。
また、自衛隊基地配備の受け入れ表明については、市長の職務権限に含まれていないとし、「受け入れ表明は自己の政治信条に従ったもの。千代田CCの土地は、表明いかんにかかわらず国に売却されていた」と主張した。
最終陳述で、敏彦被告は「自衛隊誘致は、市民の生命財産を守る、県民のためにもなり、国の国防に大いに貢献するものと思い、決断した。私の政治信条に沿って自衛隊誘致を認めたもので、具体的な場所は防衛省が決定した。賄賂という認識は一切ない」と強調した。