津波よけ、豊年願う/城辺砂川
女性がダディフ立て/上比屋山で祭祀「ナーパイ」
城辺砂川の上比屋山(ウイピャーヤマ)で2日、津波よけの伝統祭祀(さいし)「ナーパイ(縄を張る)」が行われた。地元住民らが参加し、災害のない実り多い豊年を祈願した。女性たちが、竹の一種ダディフ(和名・ダンチク)を海と陸の境界に立てて回り、津波の浸入を防いでくれるよう祈った。
女性たちは、上比屋山の頂上部にあるマイウイピャームトゥの祭場に集まり、ナーパイ・アーグ(歌)などを唱えた。その後、一列になって山を下り、ダディフを道のそばに差し立てて、波がこの境界まで上がってこないよう願いを込めた。
海が近付くとクイチャーを奉納。輪になって踊り、津波よけと同時に五穀豊穣(ほうじょう)への祈りを捧げた。
男性たちはマイウイピャームトゥに残り、歌いながら船こぎの模倣儀礼をささげ、津波の被害が発生しないように願った。
祭祀を執行した、うるか自治会の池原孝記会長は「ナーパイは一番大事な行事。屋根のふき替え作業が間に合い、うれしく思う。参加する人が減っているので、後継者不足が大きな課題。絶えさせないためにも考えなければならない」と話した。
ナーパイは毎年旧暦3月の最初の酉(とり)の日に行われる。起源ははっきりしていないが、1771年の明和の大津波より前からあったという説もある。