「過去の過ち未来に生かす」/南静園慰霊祭
570柱のみ霊慰める
旧盆に合わせて行われている国立療養所宮古南静園(知念一園長)の慰霊祭が10日、同園の納骨堂前で執り行われた。知念園長や職員、入所者など関係者らが参列し570柱のみ霊を慰め、強制的に堕胎された水子の霊を供養しながら二度と同じ過ちを犯さず、差別や偏見のない社会を構築していくことを誓った。
570柱のうち、昨年の慰霊祭以降に亡くなったのは7人。10日現在で南静園の納骨堂には292柱、園内の聖公会に42柱、園外において郷里に分骨を含むのが213柱、教会や寺に23柱となっている。
慰霊祭では、参列者全員で1分間の黙とうをささげた後、知念園長が「国や世間の無理解によって社会の一員であることを許されず、人間扱いされずに無念の思いを抱きながら一生を過ごした皆さんや光を見ることもかなわなかった水子の霊のことを思うと過去の過ちを未来に生かさなくてはと強く思う」と述べた。
その上で「ここで眠る数多くのみ霊の安らかならんことを祈っている。過去の過ちに対して十分な償いには至っていないが、少しずつでも人権、名誉回復の道を広げていくことが国民の務めだと思う」と、哀悼の意を述べた。
参列者による献花では、車いすの入所者が「安心して天国で過ごしてください」とみ霊に声をかける姿も見られた。
8月10日現在、宮古南静園入所者は42人で平均年齢は89・8歳。最高齢は102歳。