「パーントゥ」3年ぶり現る
住民らに厄除けの泥/平良島尻地区
国指定重要無形民俗文化財の仮面祭祀(さいし)「パーントゥ」が5日、3年ぶりに平良島尻地区で始まった。きょう6日まで。2018年にユネスコ無形文化遺産に登録されてから、新型コロナウイルス感染症の影響で20、21年は中止となり2回目となる。体中に泥を塗り仮面をかぶったパーントゥ3体が、集落内を駆け回り、住民や観光客らに泥を塗って厄除けした。集落内は泥を塗られた人の悲鳴と笑い声が響いていた。
パーントゥが集落のはずれの「ウマリガー」から姿を現したのは午後5時すぎ。その後は集落内に入り、ムトゥであいさつをした。地域の先輩たちに泥を塗りながら酒を酌み交わした。
その後、パーントゥは集落中央の道路に集まった市民や観光客を追いかけ回し、捕まえた人に容赦なく泥を塗った。
子供たちは悲鳴を上げながら泥を塗られた。母親に助けを求めたり、必死に逃げ回る姿も見られた。中には抱きかかえられる子供もいて「助けてー」と泣き叫んでいた。
パーントゥは建物や自動車などにも泥を塗った。集落内は人も物も泥で真っ黒になっていった。
ユネスコ無形文化遺産に登録されたのは2018年11月。野原の「サティパロウ」とともに8県で行われている10の行事をまとめた「来訪神 仮面・仮装の神々」として登録された。
島尻地区のパーントゥは、数百年前に、島尻でクバマと呼ばれる海岸に黒と赤の仮面が漂着。村人は、この仮面を海のかなたから訪れた来訪神と崇敬した。男が仮面をかぶって集落内を駆け回ったのが由来と伝えられている。
西永綾さんは、次女の心結ちゃん(5)と三女の初禾ちゃん(3)の厄払いで訪れた。泥を塗られた初禾ちゃんは「怖かった」と泣きじゃくっていた。心結ちゃんは綾さんの後ろに隠れていたという。
綾さんは「3年前にも訪れたが、その時も泣いていたが覚えていないようだった。『お祭りに行くよ』と言って連れてきた。厄を払ってもらい、二人とも健康に育ってほしい」と笑顔で話した。