富山の水族館が引き取り/市保護のセマルハコガメ
3匹公開、子供たちに人気
国の天然記念物である一方で、宮古島では外来種として位置付けられているセマルハコガメ。その複雑な背景を持つ個体がどんどん持ち込まれて、対応に苦慮していた市教育委員会と市環境衛生課に救いの手がさしのべられた。このほど、富山県氷見市のひみラボ水族館が引き受けを申し出。8月に雌3匹が同水族館に送られた。9月から公開され好評を博しているという。
セマルハコガメは、中国南部から台湾、八重山諸島(石垣島、西表島)が原産。八重山諸島の亜種ヤエヤマセマルハコガメは国指定天然記念物となっている。
宮古島では保護しても自然に戻すことはできず、譲渡するにもさまざまな条件があって飼育管理していた市教委では長年対応に苦慮していた。
行き場を失ったセマルハコガメの状況を本紙が1月に報じたところ、県内外の新聞でも取り上げられて注目を集めた。
天然記念物の淡水魚イタセンパラも展示している同水族館は、宮古島の事情を知り今年3月に引き取りを申し入れ、7月に文化庁や県などの許可を得ることができた。
8月には、市環境保全課で飼育していた雌3匹が富山県に送られ、9月から同水族館内で展示されているという。
引き取りを提案した氷見市教育委員会の西尾正輝主任学芸員は「非常に希少性の高い生物で天然記念物でもあるのに、本来の生息地とは違う場所で増えていることも一緒に紹介しながら展示している。また、宮古島市の行政も、その対応に苦慮している背景も展示パネルで説明している」と述べた。
公開後の反響については「富山県には、ハコガメがいないので、みんなとても珍しがっている。特に子どもたちには好評で、飼育ケースから取り出して、甲の隙間にぴったりとふたをして箱の状態になるのを目の前で見せると、みんな喜んでくれる」と話した。
宮古島市教育委員会生涯学習振興課は「他にも民間の動物園から引き受けの問い合わせがあるが、現在は県と協議している段階。今後も、譲渡していきたいが個体を終生飼育できる環境を有した施設でないと無理なのでハードルは高い」と述べた。
同課によると今回の引き渡しで現在の飼育数は42匹となり、各個体とも新しい引き受け先を待っている。