方言、日本語、英語でかるた/んきゃーん塾
昔のことわざを三言語で紹介/宮古の全小中高へ贈る
宮古民話の採集や発行などを手掛ける、んきゃーん塾(さどやませいこ主宰)はこのほど、宮古方言、日本語、英語の三言語かるたを作製し21日、市役所で完成報告を行った。かるたは宮古島の昔のことわざが記されており、読み札にあるQRコードをスマートフォンで読み取ると方言の音声が2回流れる。同塾では「遊びを通してみゃーくふつ(宮古方言)に触れてほしい」と話した。かるたは市教育委員会を通して市内全小、中学校と高校、特別支援学校の計32校に贈呈される。
「宮古方言と先人の知恵をかるたで残そう」│。主宰者のさどやまさん、編者・制作責任者で横浜市立大学客員研究員の藤田ラウンド幸世さんが2019年から取り組んだ。
三言語のかるたは「ら行」がなく、「あ行」の複数枚と「ん」を入れて読み札と取り札のそれぞれ48枚にした。さどやまさんが子供のころ、母親から聞いたことわざから選んだという。
「あかびーすぬとぅびちかぁうぷかじぬどぅふき。 」は「赤とんぼが飛んだら大風が吹く」の方言で、さどやまさんは「昔の人は貧しい中でも自然と向き合ってきた」と述べた。
編者の藤田さんは宮古で社会言語学の研究を始め、久松小、中で調査をした。その中で、宮古方言を話せる人は現代の小中学生にはほとんどいないということを知ったという。
藤田さんは「言語継承を考えた時、民話、言葉、生活の宮古の全体像を子供に伝えていくかに関心を持った」と作製への経緯を語った。
取り札には、さどやまさんの絵を採用。藤田さんは「温かみのある、どこか懐かしいけど新しい絵札ができた」と紹介した。
完成報告には、スペインのバルセロナにある国際NGO団体リングアパックス・インターナショナルと協同して活動を行なっているリングアパックス・アジアのセスナイェリサヴァ理事長が同席した。同団体は消滅の危機にひんする言語の保護と再生などを目的に活動を展開しており、今回のかるた作製の費用を支援したという。
市教育委員会の砂川勤教育部長は「アイデアが満載。子供たちが遊びを通して学習できる教材になると思う」と話した。
かるたは宮古地区の書店で11月から販売される。また、23日からよしもと南の島パニパニシネマで上映される「映画で!ホップ・ステップ・みゃーく」で通常価格より安価で販売する。