「楽しい寄り道大事」/作家の湊かなえさん
宮高で文章の書き方伝授/小説家志す生徒らに特別授業
本屋大賞受賞作「告白」などで知られる作家の湊かなえさんが28日、宮古高校で生徒たちに特別授業を行った。湊さんは「ナンバーワンは難しいが、オンリーワンはもっと難しい。ダイレクトに物語を進めるのではなく、いかに楽しい寄り道をするかが大事だ」と文章の書き方を伝授した。
宮古島には大学時代に来島したことがあり、その際に地元の漁師の男性に良くしてもらった経験から、恩返しのつもりで特別授業を実施することとなった。
特別授業は湊さんが事前に課題を出し、生徒たちが回答した結果を使いながら進められた。湊さんは目に留まった回答を紹介しながら、選んだ理由や課題の意図を解説した。
離島出身・在住の湊さんは「小説家はどこに住んでいてもなれる。島で書いた本が日本全国、世界に届くことを知ってもらいたい」と強調。小説家を志す生徒には「頭が柔軟な皆さんは書きながら気付きが得られる。書くときは夢中になって書き、読むときは誰かの作品を読む気持ちで、心に残った部分を探してほしい」と助言した。生徒たちからの質問にも丁寧に答えた。
生徒を代表して安井モネさん(3年)は「書く側の視点は発見と感心の連続だった。湊さんのようなオンリーワンの文章が書きたい。貴重な時間をありがとうございました」と礼を述べた。
湊さんは1973年、広島県因島生まれ。2007年、「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞。08年同作品を収録した「告白」でデビューし、「2008年週刊文春ミステリーベスト10」第1位、09年本屋大賞を受賞した。
特別授業は視聴覚室で行われ、希望した一部の生徒が参加。他の生徒はオンラインでつなぎ、各教室で視聴した。