被災地避難所 役割分担、工夫で運営/東日本大震災時の体験語る
東日本大震災時の体験語る/仙台・市名坂東町内会長の草さん
災害伝承10年プロジェクト 「語り部」が防災講演会
災害伝承10年プロジェクト2022年度宮古島市防災講演会(主催・市)が2日、城辺公民館で行われた。宮城県仙台市の市名坂東町内会長の草貴子さんが講師を務め、東日本大震災時の状況や同町内会の防災活動の取り組みなどについて説明した。草さんは地域防災の大事なこととして「自分たちの特性を考えてオリジナリティーのある身の丈にあった事を実践すること」と強調した。
同講演会は消防庁「災害伝承10年プロジェクト」事業で派遣される語り部から東日本大震災時の実体験を講演してもらうことにより、自助・共助の重要性、自主防災組織の設立・育成を図り、地域防災力の向上を図る目的で実施。市職員、消防団、各自治会の役員、各地域づくり協議会、城東中学校の生徒たちが参加した。
草さんは東日本大震災発生時の状況や、自身が町内会長として震災以前から備蓄米を町内会集会所にストックするなど防災活動に取り組み、震災後には町内会会員だけでなく未加入の住民も受け入れ、役割分担やさまざまな工夫を行いながら避難所運営を10日間行った経験、自主防災の在り方などについて説明した。
また、被災した際の避難所でのマナーとして▽係員はビブスを着用し、避難者はその係員の指示に従う▽お互いさま、思いやりの気持ちを持つ▽自分勝手な振る舞いは控え、協力する▽弱者(乳幼児、障がい者、高齢者)には目配り、気配り、心配りをする▽気分が悪い時はすぐに申し出る(インフルエンザといった伝染病などの可能性があるため)-ことなどを紹介し、「規則は相手を守り、自分を守る」と訴えた。
草さんは「誰もが経験したことない大震災の中で、それぞれの役目をみんな自分なりに一生懸命果たした。これから何をすべきか何度も考えて悩んだ。人間の無力さ、命のはかなさと尊さ、悲しみの受け止め方、人の優しさを感じた。生かされた私たちはしっかりと生きていかなければならない」と強調し、「災害はいつどんなときにやってくるか分からない。いかなるときでも自分や仲間を信じて自分の役目を果たし、みんなとともに頑張って歩んでいきたい」と話した。
このほか、有事の際に備えて、電池やラジオなどの家庭用品や卓上コンロ、ガスボンベなども用意しておくと便利と紹介した。