宇宙の謎、解き明かす/国立天文台・川邊教授
市民に最新研究を講演/「星きれいな島で宇宙身近に」
国立天文台の川邊良平教授による一般向け講演会「私たちの宇宙は謎で満ちている」(市教育委員会・九州共立大学・足利大学主催、国立天文台後援)が17日、市役所大ホールで行われた。市民ら約70人が参加し、川邊教授の講演などを通して最新の天文学研究について触れ、「宇宙の謎」について学んだ。
同講演会は、川邊教授の退職を記念した国際研究会が宮古島で開かれることに合わせ、市民に最新の天文学研究に触れてもらおうと開かれた。
会の冒頭、島尻芳人九州共立大教授(父が平良島尻出身)が「宮古島は世界でも特に星がきれいに見える。皆さんは宇宙をすごく身近に感じるところに住んでいる。ぜひ講演を楽しみ、宇宙により興味を持ってほしい」と呼び掛けた。
川邊教授は「宇宙・地球・生命に関わる謎について考えよう」と題し▽星と銀河▽この宇宙はどのようにしてできたのか▽星はどのように光っているか▽地球と同じような惑星はあるか│について話した。
川邊教授は、宇宙に存在する力は、重力や電磁気力(電気と磁気の力)など四つあると説明。「電気と磁気の力がなかったら生命は存在できない。この瞬間、誰かが電気と磁気のスイッチを切ったらわれわれの体はバラバラになってしまう」と語った。
また、太陽の寿命はおよそ100億年だとし、「あと50億年は心配しなくていい。それより地球の資源の問題を心配しないといけない」と述べ、地球環境や温暖化、食料、エネルギー問題などが文明としての問題だとの考えを示した。
講演後は、川邊教授と名古屋大の田村陽一教授、東北大の富田賢吾准教授、国立天文台の野村英子教授が参加者の質問に答えた。
講演について、久松中3年の与儀陽葵君と寺町優君は「面白かった。宇宙のことを知るには物理学だけでなく生物学も必要だと知って生物学にも興味が出てきた」と感想を話した。
大城裕子教育長は「宇宙が少し近くなった気がする。子供たちが宇宙のことをより知ることができる機会をもっと作りたい。星がきれいに見えるという地の利を生かした教育の場を創出していきたい」と述べた。