「海難死亡事故をゼロに」
酸素供給キット配備へ/美ら海連絡協
全会員への早期導入目指す
海難死亡事故ゼロを目指して、宮古島美(ちゅ)ら海連絡協議会(渡真利将博代表理事)が、緊急用の「酸素供給キット」を購入し、会員事業所に配備する計画を進めている。関係団体および行政からの助成を求めながら、配備率100%の早期達成を図る。渡真利代表理事らが25日、宮古島漁業協同組合で会見を開き、「安全対策を強化し、万が一に備えた。死亡事故がない体制を整えたい」と語った。
同キットの購入資金は、会員会費および美ら海協力金等から捻出された。今回新たに購入した10セットと、既存の23セットを加えた33セットを配備する。会員事業所は87店舗あり、配備率は38%となる。
溺者の呼吸停止から4分で死亡率50%と言われており、いかに迅速に対応するかが重大事故を防止するキーポイントという。
ほとんどの溺者は呼吸停止中の酸欠、肺の中の海水による障害等が見られることから、現場での酸素供給が必要。救急車引継ぎまでの時間に酸素供給ができれば、重大事故の確率は低くなると考えている。
配備している船には「オキシゲン・サプライキット」のステッカーが貼られ、近くにいる船の利用も可能となる。
同キットの100%配備後は、AED(自動体外式除細動器)の配備も進め、安全対策のさらなる強化を進める。
2022年に発生した海難事故のうち、死者・行方不明者は4人。遊泳中(シュノーケル)が2人、ダイビング、SUPが各1人だった。
同会は現在、ダイビング業者で構成されているが、今後はSUPや水上バイク、シュノーケリングなどの事業所の加盟を推進する。
渡真利代表理事は「年内には他業種の皆さんも加わってもらい、一緒に活動できる体制をつくりたい。一枚岩となって観光客の安心安全のために頑張りたい」と語った。