一席に高杉さん「ソラピーの夢」/第6回宮古島文学賞
二席見坂さん、佳作玉元さん/「島」テーマの60作から選考
市文化協会(饒平名和枝会長)は3日、市役所で会見を開き、第6回宮古島文学賞の最終選考会の結果、一席に大阪府在住の高杉晋太郎さん(62)の作品「ソラピーの夢」を選出したと発表した。二席には神奈川県在住の見坂卓郎さん(39)の「檻の魚」、佳作には沖縄県在住の玉元清さん(76)の「カルロタコ、食べますか?」が選ばれた。授賞式は3月4日に市未来創造センターで開催予定で、祝賀会は中止が決定している。
「島」をテーマとした短編小説が対象となる宮古島文学賞。第6回は昨年10月1日から同31日まで作品の募集が行われ、17都道府県から60作品の応募を受け付けた。
1次、2次選考を経て最終選考候補作を8作品に絞り込み、最終選考会を2日に開催。選考委員長の椎名誠氏(東京)、選考委員の大城貞俊氏(沖縄本島)、もりおみずき氏(宮古)が審査を行った結果、仲宗根豊見親が宿願である先島諸島の支配権確立のため石垣島や与那国島で戦いを繰り広げる物語を描いた高杉さんの「ソラピーの夢」が一席を獲得した。ソラピーは仲宗根豊見親の幼名だという。
選考委員からは「南西諸島の歴史に詳しくないと難しいが、壮大な歴史小説。海洋合戦の小説となっており、今後の可能性を感じる良い作品」や「文体も内容にふさわしく躍動的で魅力的な作品となっていた」「視点の斬新さを改めて教えてもらった」といった感想の声が聞かれ、「良い作品を一席に選べた」との考えを示した。
また「選ばれた3作品は島の魅力を描いた文学の力を大いに感じさせる作品だった。このような作品を選べたことをうれしく思う」とも語った。
冒頭、饒平名会長は「応募作品の一つ一つが作者それぞれの世界観や島への温かな視点が描写されるなど感動した。応募してくれたすべての人たちに感謝したい。今後も島を紡ぐ特徴のある文学賞を宮古はもとより全国に向けて発信していきたい」とあいさつした。
同席した大城裕子教育長は「毎年多くの作品の応募があることをうれしく思う。幅広い年齢から応募があったと聞いている。この文学賞が浸透している証しだと思う。文学賞事業を通して市教委も文化協会と共に島内外に発信していきたい」と話した。
入賞作品は今後、市文化協会のホームページで掲載される予定となっている。