戦争の悲惨さ 市民熱演
世代超え、演劇で平和訴え/文化再発見事業
「戦争のない平和な島(ふるさと)と世界を」-。黄金(くがに)文化再発見事業として行われる宮古島市民劇「知られざる沖縄戦~宮古島の戦争の話~」(主催・文化庁、日本劇団協議会)が4、5の両日に市未来創造センター多目的ホールで開催された。2日間とも多くの観客が会場に訪れた。舞台では、宮古でも多くの命と描いた明るい未来が奪われた戦争の悲惨さを島の出演者たちが熱演し、恒久平和を訴えた。
今回の市民劇は、宮古島の小学校4年生から70代の女性まで21人も一般参加。ストーリー全体に宮古方言がちりばめられ、「平和」とともに「方言」の大切さも呼び掛けられた。
この物語は、第2次大戦中の宮古島で起きた出来事を証言集などで集めて、物語に仕立てた。
激しさ極めた沖縄本島などの地上戦とは違う状況だった宮古島においても、当時は子供から女性まで旧日本軍の滑走路建設工事に従事させられたり、食べ物が無く栄養失調やマラリアに感染して命を落としていた背景を軸に物語は展開した。
序盤は、勝利を信じて厳しい状況も受け入れながら、明るい未来へ前向きに生きようとする島民の姿が生き生きと描かれた。
しかし、物語の後半は敗戦が濃厚となる中、艦砲射撃、飢え、マラリアで家族、友人ら次々と命を落としていくことになる。
物語の要所で、女学生たちが歌う童謡「ふるさと」の歌詞が平和の大切さを際だたせ、苦しい中でも生き抜こうとする島民たちの姿がそれと重なり、多くの観客の涙を誘っていた。
物語の最後は、恒久平和への願い(ニガイ)が語られ「この島で起きた悲劇を決して忘れない。いつまでも世界が平和でありますように」と訴えた。
観客からは「感動した」「とても素晴らしかった」などの感想が聞かれ、涙で目を腫らした女性の姿も見られた。