セマルハコガメ 胃、ふんから貴重種/市環境衛生課調査
陸産貝類を主に捕食/ミヤコヤマタニシなど確認
国の天然記念物である一方で、宮古島では外来種として位置付けられているセマルハコガメ。そうした複雑な背景から、その対応に苦慮している市環境衛生課では、このほど文化庁の許可を得て、昨年9月に胃とふんの内容物の調査を実施。その結果、陸産貝類を主に捕食していることが判明。その中には貴重種のミヤコヤマタニシ(市の保全種、環境省・県の準絶滅危惧)も捕食されていることが確認された。
現在、セマルハコガメについては、市教育委員会と同課で、市民らから持ち込まれた42個体を自然界に戻せずに飼育し続けている。
持ち込まれた個体は天然記念物なので、自然界に戻せば問題は解決するかに思われるが、もう一つの「外来種」という側面から戻すことができないという。
個体数も年々増加し続けていることから、市では2020年度から個体数や生息地の調査を実施。22年度は、在来種への影響(セマルハコガメの捕食状況)を調査するために、初めて胃の内容物とふんの分析調査を実施した。
調査は、島の東側にある森で昨年9月20~22日までの3日間実施されてこのほど、報告書がまとまった。
胃の内容物からは、植物質、鳥類および陸産貝類などが確認され、特に陸産貝類は延べ11個体のうち4個体から採取。主な餌となっているとしている。
また、植物質については地面に落ちていたパパイアの実などの果実を多く確認。鳥類については、死肉を捕食したと推測している。
ふんの分析でも、陸産貝類は12個体のうち6個体で確認されたほか、貴重種のミヤコヤマタニシを含む在来種も捕食されていることが分かった。
今回の結果を踏まえて同課では「貴重種のミヤコヤマタニシや固有種の陸産貝類にとってセマルハコガメは天敵の一つであり、外来種によって宮古の生態系が脅かされているとも言える」と警鐘を鳴らした。
同課では今後、大野山林など、そのほかの地域でも食性調査を実施することで、そのほかの在来種の捕食状況も確認できる可能性があると見込んでいる。