戦没者一人一人を思う/上野中 刻銘者名を読み上げ
宮古出身者の2500人分/「平和の礎」
23日の「慰霊の日」を前に、上野中学校では22日に「沖縄『平和の礎』を読み上げる集い」(主催・同実行委員会)が行われた。全校生徒115人が「平和の礎(いしじ)に刻銘されている宮古関係者の名前を亡くなった当時の年齢とともに読み上げた。生徒たちは、戦争によって失われてしまった「命」について考えながら、平和の尊さを胸に刻んでいた。
この取り組みは、沖縄、全国、世界各地の参加者を地域の会場とオンラインで結び、戦没者の名の読み上げを通して、平和を発信することを目的としている。
その名前を読み上げることは、戦争で犠牲になった一人一人の「命」について考えることにつながるとして、同校は初めて参加した。
この日は、1~3年生までが「平和の礎」に刻銘されている宮古島出身者3293人のうち、2500人の名前を読み上げた。
2500人のうち、199人の上野出身者の名前も読み上げられた。
最初に戦没者の名前を読み上げた同校図書専門委員会の野口空良委員長(3年)は「緊張したけどうまく読めて良かった。一人一人心を込めて読むことを心掛けた。亡くなった人の中には幼くして命を落とした人たちもいて、改めて平和の大切さを実感した」と話した。
この取り組みについて学校側は「これまでは戦争体験者の講話などだったが、この取り組みがあることを知り参加することにした。戦没者の名前を実際に生徒たちが自分で読み上げることで、戦争や平和についての考えも深まると思う」と話した。
この取り組みは6月1日から23日までを予定。期間中は原則朝9時~午後9時までの時間、誰でも参加可能なウェブ会議システム(ZOOM)で全国をつないで交代しながら戦没者の名前を読み上げている。
沖縄戦では、90日に及ぶ悲惨な地上戦で20万人余りの尊い命が失われた。その悲劇を繰り返さないことを誓った「平和の礎」には、沖縄戦などで亡くなった人の名前が国籍や、軍人、民間人の区別なく刻まれている。