「望まぬ妊娠」防ぎたい/おきなわ子ども未来ネット
各種施策で若年女性支援/事業説明し活用呼び掛け
県内で「若年にんしんSOS事業」などを展開しているおきなわ子ども未来ネットワーク(山内優子代表理事)は18日、宮古島で事業説明会を行った。2023年度離島自治体訪問事業で、市職員や島内の保健師、助産師などが参加した。山内代表理事らは県内の若年者の出産や人工中絶の状況などを説明するとともに、悩んでいる女性たちのためにも同ネットワークが実施しているさまざまな事業の活用を呼び掛けた。
同団体は2015年に県内で発生した生後間もない女児の置き去り事件後に発足。この女児は外傷はなく、命に別条はなかったが、出産したのは女子中学生で誰にも相談できず、どのようにすれば良いのか分からない状況の中、自宅のトイレで産み、その後警察に逮捕された。
県宮古合同庁舎で行われた説明会で山内さんは「彼女は逮捕されるのではなく保護されるべきだったのではないか」と考えたという。その後に団体を設立。説明会では県内の10代の妊娠・出産は全国の2倍で大きな課題となっているほか、若年での妊娠・出産は貧困や虐待の連鎖を生みやすい状況と説明した。
また、虐待での死亡事例として49人中0歳児は32人で、さらにその半分が0カ月と紹介し「効果的な支援時期は子が産まれてからでは遅い」と話した。
それらを踏まえて、同団体の事業として▽厳しい経済状況にある女性が望まない妊娠を防げるよう子宮内避妊具(リング)の費用を援助する「リングキャンペーン」の実施▽出産しても子供を育てられない女性と子供のために県内初の特別養子縁組民間あっせん機関として「おきなわ子どもみらいポケット」の創設▽妊娠し子供を産みたいが住む場所もなく、頼る人もおらず、お金がないなどの若年妊産婦の宿泊施設として「まりやハウス風のいえ」の開設▽シングルマザーを対象に運転免許取得費用の支援-などを行っている。
このほか、県からの委託・運営事業として「若年にんしんSOS事業」を実施。専用のLINE(SNS)で相談を受け、同団体のメンバーが相談者の元に妊娠検査薬を持参し無料で検査を行う。もし妊娠していた場合は産婦人科にも一緒に行くという。
山内さんは「県内で活動しているが宮古島などでも研修を受けたサポーターがいる。離島からの相談は少ないが、このような活動を行っている団体があることを知ってほしい」と話した。
支援の相談は市町村の保健師や支援機関などで可能。若年にんしんSOS事業などについての相談はおきなわ子ども未来ネットワーク(電話098・989・7301)まで。