有罪か無罪か、主張展開/「法曹三者」の仕事体験
児童生徒が模擬裁判/那覇地裁平良支部 夏休みこども見学会
那覇地方・家庭裁判所平良支部(支部長・遠藤安希歩裁判官)の「夏休み裁判所体験!こども見学会」が8日、同支部で行われた。小、中学生17人とその保護者らが参加して法廷などを見学。後半は模擬裁判の体験も行われ、参加した児童生徒たちが裁判官、検察官、弁護士の役割を演じ、裁判の仕組みについて学んだ。
見学会では最初に、「リホちゃんナビスケの裁判所ってどんなとこ?」のDVD上映が行われ、裁判所の仕事に対する知識を深めた。
模擬裁判で想定した事件は、あるデパートで商品の陳列棚から男が素早く引っ込めた手を上着のポケットに入れたように見えたとして、売り場担当者が陳列棚を確認したところゲームソフトが無くなっているのに気付く。
その男に担当者が声を掛けると突然、ゲームソフトを棚に戻して逃げ出そうとしたことから、事務所に連れて行き、警察署に通報して警察官に引き渡して起訴となった。
裁判では弁護側が「無罪」、検察側が「有罪」の主張を展開。別室で行われた評議では参加した児童生徒が3グループに分かれてその判断についての見解を述べ合った。
3グループのうち、2グループが「無罪」、1グループが「有罪」の判断となり、最終的には挙手による判断となって1票差で「無罪」判決となった。
無罪判決の理由について、裁判官の説明は「子どものためのクリスマスプレゼントなので盗むはずがない」などを挙げた。
模擬裁判終了後は質問タイムが設けられ、裁判官、検察官、弁護士の仕事の魅力や大変さなどについて参加者から質問が出された。
その中で、遠藤裁判官は「今回は、1票差の無罪判決になってとても良い模擬裁判だったと思う。皆さんも今回経験したように、裁判官の仕事は悩んだり、プレッシャーを感じたりして、正しいと思う結論を自分の言葉で示せることが魅力。それが皆さんの生活の安全安心につながるので、とてもやりがいはある」と話した。
さらに「きょうの模擬裁判を通して、裁判所の仕事に興味を持ってくれたら将来の仕事として検討してほしい」と呼び掛けた。
参加した児童生徒たちは模擬裁判を通して、事実を見極めることの難しさや、「有罪」「無罪」を判断することの大変さを学んでいた。
この見学会は、小中学生に裁判所の役割や仕事についてより身近に感じてもらい、進路や将来の職業について考える機会にすることなどを目的に開催された。