生活習慣見直しで抑制を/竹井氏「4割は予防可能」
講話や劇などで理解深める/認知症講演会
認知症について学び、理解を深める講演会「もっと知ろうもっと語ろう認知症 島で育む認知症~他人事から自分事に~」(主催・宮古地区医師会)が17日、市保健センターで開かれた。宮古地区医師会長で沖縄県認知症疾患医療センター長の竹井太氏と宮古地区歯科医師会長の波平篤樹氏が講話を行ったほか、劇団ぴん座が「認知症劇」を披露した。竹井氏は認知症の約4割は予防が可能であることを紹介し、生活習慣などを見直すことで発症の抑制を目指す予防の重要性を訴えた。
竹井氏は「あばっ!今のあなたで大丈夫?認知症回避の秘策教えます」をテーマに講話。認知症については「一度獲得した記憶や認識といった知的機能の低下により、自己や周囲の状況把握・判断が不正確になり、自立した生活が困難になっている人の状態」であって、病気の名前ではないことを説明した。
認知症の種類には、アルツハイマー型や脳血管性、前頭側頭型、外傷性、パーキンソン病、アルコール性などがあることを紹介。最も多いのはアルツハイマー型でこのタイプは予防が難しいものの、脳血管性や外傷性、アルコール性などは予防に取り組むことで回避が可能と語った。
認知症発症の危険因子のうち高血圧や肥満、喫煙、うつ病、糖尿病など約4割は修正が可能で、生活習慣のコントロールで発症リスクを抑制できるとの考えを示し、予防の重要性を指摘した。
波平氏は「食べることは生きること」と題し、よくかむことにより脳の血流量が増え、脳細胞の働きが活性化して、記憶や知能を統合する大脳皮質に大きな影響を与えることなどを紹介。「口腔内を刺激すると脳が若返る」との考えを示し、「どんな名医より、薬より自分自身で食べることに勝るものはない」として、よくかむことのできる歯の健康を守る大切さを強調した。
劇団ぴん座による「認知症劇」では、認知症となり1年前に妻が亡くなったことを忘れて妻を探し回る「おじい」の様子をユーモラスに描きながら、認知症の症状が見られたら病院で診察を受けることや、ケアする家族は一人で抱え込まず周囲に相談することの大切さなどをアピールした。
そのほか、認知症家族会みやこま~つきずみの会(若年性認知症家族会)による活動報告や関係団体によるパネル展が行われた。
会場には大勢の市民らが訪れ、認知症について認識を深めた。