全住民を1日で宮古島へ/国が避難計画を説明
村民、国職員が意見交換/多良間村国民保護計画
【多良間】多良間村は16日夜、村国民保護計画に基づく住民避難に関する村民との意見交換会を村コミュニティー施設で開催し、有事の際に全住民を九州各県に避難させる計画を示した。内閣官房から危機管理担当の職員らが同席。住民からは有事にならないよう外交努力を求める声や、避難先での生活を不安視する声などさまざまな意見が上がった。
国側は「有事が起こらないように全力を尽くす。しかし、万が一の時に避難計画がない、避難施設がないでは不安だと思う。すべては安心のためだ」と理解を求めた。
政府素案によると、多良間村を含む県全体が要避難地域となり、先島諸島の住民は原則公共機関を利用して九州各県に避難することになっている。
島外避難する際には、空路と海路で全住民1077人を、1日で多良間村から宮古島市に移動させる。その後、再び空路と海路で鹿児島県に向かう。同県から九州各県へはバス、電車を利用する。
宮古島市への移動は天候が荒れなければ1日で完了する見込み。琉球エアーコミューターの航空機では1日最大400人を、フェリーたらまⅢでは同900人を輸送できるという。
住民は「多良間村は基地の島になってしまうと心配している。国の皆さんは有事が起こらないようにしてほしい」と訴えた。
国の担当者は「どのくらいの確率で紛争が起こるのかは分かりかねる。離島地域は移動手段が限られるため、政府としては重点的に検討を進めている」と説明した。
避難先での生活については「受け入れた都道府県が避難者の食料や水などを提供することになっている。就労や子どもたちの教育については、政府を挙げて支援することになる」と述べるにとどめた。
避難施設については国側は「国として必要と考えている。シェルターという今までにないような特別な施設を、どのように造るのかを研究している」と語った。
今年度の県図上訓練に向けた検討課題として▽高齢者・障がい者ら配慮を要する者の対応▽宮古島市での一時受け入れ▽人員体制(職員配置など)▽交通規制など-が報告された。