パーントゥに悲鳴と笑顔/平良島尻地区
住民らに厄除けの泥塗る
国指定重要無形民俗文化財の仮面祭祀(さいし)「パーントゥ」が25日、平良島尻地区で始まった。体中に泥を塗り仮面をかぶったパーントゥ3体が、住民や観光客らに泥を塗って厄除け。秋空の下、集落内には泥を塗られた人の悲鳴と笑い声が響いていた。きょう26日まで。
パーントゥが集落の外れの「ウマリガー」から姿を現したのは午後4時半すぎ。周辺で待ち構えていた人たちは「来た!」と声を上げ、ゆっくりと歩く3体を見守った。
集落に入ると、まずはムトゥであいさつをした。地域の先輩たちに泥を塗りながら酒を酌み交わした。
その後は集落中央の道路に集まった市民や観光客を追い掛け回し、つかまえた人に容赦なく泥を塗った。
子どもたちは悲鳴を上げながら逃げ回っていた。母親に助けを求めたり、抱きかかえられたりして「いやー」と泣き叫ぶ姿も見られた。
建物や自動車などにも遠慮なく泥を塗りまくり、集落内は人も物も泥で真っ黒になっていった。交通整理の警察官にも2体で襲い掛かり、泥を塗っていた。
パーントゥがユネスコ無形文化遺産に登録されたのは2018年11月。野原の「サティパロウ」とともに8県10行事をまとめた「来訪神 仮面・仮装の神々」として登録された。
島尻地区のパーントゥは、数百年前に、島尻で「クバマ」と呼ばれる海岸に黒と赤の仮面が漂着。村人は、この仮面を海のかなたから訪れた来訪神と崇敬し、男性が仮面をかぶって集落内を駆け回ったのが由来と伝えられている。
家族ら8人で訪れた棚原里羽さん(12)は「パーントゥは何回も来ている。泥を2回塗られたけど楽しかった。厄払いできた。来年は中学生になるので良い一年になりそう」と笑顔で話した。