紙面が担う役割再確認/宮古の新聞展トークショー
「記録性、歴史性は重要」/仲宗根さんら意義強調
「宮古の新聞展~紙面で振り返る宮古の歩み~」(宮古毎日新聞社、宮古新報社、Nansei共催)のトークショーが19日、市立図書館(市未来創造センター内)で行われ、登壇者たちが戦後、宮古で発刊された新聞紙面が果たしてきた役割の重要性、そして今後も時代、歴史を映す鏡として信ぴょう性を持った記事を紙面を通して発信し続けることの意義を強調した。
新聞展は、既存の日刊紙2紙を含め、過去に宮古島で発刊され廃刊となった多くの新聞社の古い紙面を展示紹介した。
トークショーでは、宮古郷土史研究会顧問の仲宗根將二さん、Nansei創業者で現在は相談役の砂川哲男さん(宮古島市出身)がパネリストとなり、司会は元沖縄タイムス宮古支局長でNansei常務の稲嶺幸弘さんが務め、それぞれが宮古の新聞と関わってきた歴史やこれからの新聞について意見を交換した。
66年前の1957年に宮古毎日新聞社に入社した仲宗根さんは、記者として奮闘していた当時を振り返りながら、さらに紙面が果たしてきた役割などについて説明した。
宮古で多くの新聞社が誕生した理由については「戦前、戦中の言論統制で言いたいことが言えない時代を乗り越えて言うべきこと、書くべきことを書く時代が到来したということ」と当時を振り返った。
島と新聞が歩んだ歴史については「戦後は衣食住だけでなく島民は情報にも飢えていた。配達されるのを待ち切れずに印刷所にまで新聞を取りに来た人もたくさんいた」と話した。
さらに「多くの新聞が廃刊した理由は財政基盤の脆弱(ぜいじゃく)さが大きい。それと、政治動向に対する新聞社の対応で読者の関心が薄くなり、積極的に読みたいと思わなくなったことも要因にある。新聞社の浮沈は常に読者の動向にかかっている」との考えを示した。
今回、展示された新聞紙面は、砂川さんが社の設立記念事業として、1982年に集めた紙面をマイクロフィルムに残し、その後デジタル化された。
砂川さんは「過去の紙面は島にとって重要な財産。それをただ残すだけでなく、気軽にウェブ上で閲覧できるようになるなど、その活用の幅がさらに広がることを期待している」と話した。
稲嶺さんは「過去の紙面には暮らしてきた人たちの生きた証しが記録として残っている。紙面を見て昔の記憶もよみがえる。それを残していくために今の新しい技術を活用していくことも今後の課題」と訴えた。
最後に仲宗根さんは「古い紙面を見て分かるのは当時、毎日のように社説も論説も掲載されていたが今はそれがない。それが読者への配慮だった。最近は、速報性にとらわれて資料性が乏しい。どんな時代であっても記録性、歴史性を持った新聞を出し続けることは重要だ」と話した。