「ホットライン」で各種支援/エラン、市、観光協会
TVで手話通訳と観光案内/人手不足などの課題に対応
市と宮古島観光協会は、ヘルスケアに関する各種諸課題を解決する事業を展開する琉球エラン(櫻井英治社長)が開発した「ホットラインTV」を活用して手話通訳支援と観光案内を遠隔で対応する取り組みを29日からスタートさせた。人員確保や人手不足が課題となっていた分野に、同システムを活用してリモートでサービスを提供する試みに期待が高まっている。
エランのホットラインTVとは、専用テレビ、リモコン、Webカメラを医療機関、介護施設、公共機関等に月額でレンタルするサービス。
通信環境があればどこでも設置可能で、通話料金は発生しない。例えば、入院中の部屋のテレビと自宅のテレビをつないで大画面で双方が顔を見ながら面会することも可能だ。
「ホットラインによる手話通訳支援に関する協定書」を締結している市と琉球エランは29日に会見し、ろうあ者の入院、通院および各種手続きをする際のサービスを同TVで支援する実証サービスを開始したことを発表した。
実証の取り組みは、市障がい福祉課と宮古病院に同機器を設置。ろうあ者が病院を訪れた際、病院に設置した機器の画面に手話通訳が映し出されて医師や看護師らとやり取りを行う。
これにより、ろうあ者の病院の付き添えの際には長時間拘束され、限られた人数でのサービスを強いられていた手話通訳の効率化も図られるとしている。
琉球エランは「このシステムは、もともと情報を受け取れない高齢者向けに在宅でのオンライン診療をイメージしていた。高齢者にタブレットを使いこなすのは難しいが、これはテレビのリモコンだけで使いこなせるので汎用(はんよう)性は広がると思う」と話した。
市障がい福祉課の守武大課長は「実際にやってみていろいろな課題も出てくると思うが、より使いやすい形でこれからも進めていければいいと思う」と話した。
観光協会は同日、宮古空港の観光案内所に同TVに直接つながるタブレットを設置。これにより、案内人を常駐させることなく対面での観光案内が可能になったとしている。
同協会では、コロナ禍の影響を受けて2020年4月から常駐する案内人の不在が続き、現在も人材不足および賃金の高騰を受けて配置が困難な状況となっている。
同協会の川満正寛事務局長は「このシステムを観光用に手を加える必要があり、県の補助事業である『受入体制再構築支援事業』を活用させてもらった。観光客のためではあるが、対面での観光案内に要望が高まる中、協会としても無人化解消の第一歩にしたい」と話した。