陸自ヘリ 墜落原因特定できず
左右エンジン相次ぎ出力低下/防衛省 近く報告書公表へ
宮古島周辺で昨年4月、陸上自衛隊のUH60JAヘリコプターが墜落、10人が死亡した事故で、陸自が、事故原因を特定できなかったとする調査報告書をまとめたことが11日、防衛省関係者への取材で分かった。ヘリに2基あるエンジンの出力が相次いで低下していたという。近く公表する。
防衛省関係者によると、企業と協力し、回収したフライトレコーダー(飛行記録装置)の解析などを進めたところ、事故直前にヘリ右側のエンジンの出力が急低下していたことが分かった。配管などの不具合で出力が徐々に低下する「ロールバック」という現象が起きたとみられるという。間もなく左側の出力も低下したため、機体の高度を維持できず墜落していた。
フライトレコーダーの一部データが破損しており、左側の出力低下が、故障によるものか、操縦ミスかは解明できず、最終的な墜落原因を絞り込むことはできなかったという。
陸自は機体整備や操縦士の教育訓練を徹底し、再発防止を図る方針。
事故は昨年4月6日午後発生。上空から宮古島の地形を視察していたヘリが、離陸の約10分後にレーダーから消失した。機体は海中で見つかり、乗っていた第8師団の坂本雄一師団長(当時)ら10人全員が死亡した。