耐震強化を知事に要請へ/平良港
市、離島振興策の一環位置づけ
宮古島市(下地敏彦市長)は平良港の耐震強化岸壁と大型船舶の航行安全確保について今月末にも、仲井真弘多知事に要請する。市はこれまで港湾管理者として、単独で事業採択の要求を行ってきたが、同整備事業を県の離島振興策の一環と位置付け、県が市と共に国に要求するよう知事に求める。仲井真知事への要請は今回が初めて。長濱政治副市長は「災害時には耐震構造になっていない岸壁は致命的」と話し、事業採択に向け継続して取り組む考えを示した。
市港湾課によると大規模地震発生時の緊急物資搬入など、市民生活の安心・安全の確保に不安があり、同港湾の整備は市にとって切実な願いであるとして、これまでも要求を繰り返してきた。3月11日に発災した東北地方太平洋沖地震を受け、さらに危機感を強めたことが、仲井真知事に要請する背景にあるという。
離島県の離島である宮古島は、鉄道や高速道路などの交通体系が整っていないことから、圏域物流の98㌫以上を平良港で取り扱っている。大量物流は船舶に大きく依存しているため港湾の整備は避けて通れない状況だ。
また、近年、輸送の効率化に伴う船舶の大型化は、北風が強くなる冬期に船舶が安全に埠頭に接岸できないという深刻な問題も発生している。
これについて長濱副市長は「現状の港では大型船舶には対応できない。大型化が完了する2016年までに整備するためには12年度の事業採択が不可欠」との見解を示した。
これらの現状を踏まえ、市は2008年から漲水地区再編事業の第1期として、耐震化と大型船舶航行の安全確保のための港湾整備事業の予算計上を国に求めてきた。
市はこれまで、今年3月に来島した民主党の岡田克也幹事長を含め、09年7月、10年1月、7月に国土交通省に、同年12月には財務省に要求しているが、事業の採択には至っていない。
これまで複数回にわたり国交省に要求してきたが、10年12月に初めて財務省に要求した理由には、前原誠司国土交通相(当時)が10年8月3日の大臣会見で「平良港、石垣港を含む離島の港湾に関しては、必要最小限度の直轄での新規事業は行い得る」と発表しことを受け、下地市長が同月4日の会見で「具体的に港(平良港)の名前を出してくれたので、国交省で平良港整備の事業計画が認められたと理解している。今後は財務省との調整になる」との認識を示したことが背景にある。