万が一に備え防災訓練/佐良浜
県指定の崩壊危険箇所で
宮古島市は12日、県の急傾斜地崩壊危険箇所に指定されている伊良部島佐良浜地区で土砂災害・全国統一防災訓練を実施した。市や消防本部、宮古島署、宮古島気象台、住民など総勢約120人が参加。万が一に備え、住民避難・情報伝達の連携を確認した。佐良浜の指定地域で、大掛かりな訓練が行われたのは今回が初めて。
近年、台風や梅雨前線豪雨などにより全国各地で土砂災害が多発し、多くの尊い人命が失われ、住民の避難の遅れと高齢者など災害時要援護者の被災への対応が課題となっている。
県内では、2006年6月に中城村安里地区、07年6月に豊見城村上田地区で大雨による土砂災害が発生し、安里地区では一時82世帯に避難指示・勧告が出され、上田地区では1戸5人が自主避難を行った。
こうした実態を踏まえ、今回の訓練は、災害時要援護者を含めた住民避難および避難支援、住民の防災意識の高揚など、警戒避難体制の整備を図り、土砂災害の防止および軽減に資するのが目的で実施された。
訓練では、集中豪雨で土砂災害の恐れがあることから 伊良部離島振興総合センターそばの広場に現地災害対策本部を設置した。急斜面地崩壊危険箇所の近隣で、災害の前兆現象を確認した-と想定。池間添一部の29世帯85人に避難指示を発令した。
消防隊員は、住民を誘導し、避難所に指定された前里添多目的施設に避難させた。また要援護者は担架で運び避難所で安全を確保した。女性たちは、炊き出し訓練でおにぎりを作った。
引き続き避難所では、救急隊員が救急法の訓練を実施。指笛王国宮古支部が、災害時に救助を求める方法として、指笛の吹き方を指導した。
池間添自治会の仲村淳会長は「これまで住民の中には、津波が押し寄せる情報がある時、海岸沿えから津波を見学していた。津波災害の怖さを知らない。住民は東日本大震災で津波の怖さを身を知ったと思う。訓練して良かった」と評価した。