先島航路再開記述で議論/県振興審議会・離島部会
21世紀ビジョン最終審議
【那覇支社】ポスト第4次沖縄振興計画の県側素案となる沖縄21世紀ビジョン基本計画(案)を審議する県振興審議会・離島過疎地域振興部会(部会長・大城肇琉球大副学長)の最終会合が15日、那覇市の自治会館で開かれ、「新たな計画の基本的考え方(案)」について審議した。委員が提案した「旅客船の先島航路の早期再開」の追加記述をめぐって、県事務局が必要性はないと主張。これに委員が反発するなど白熱した議論が展開された。部会案は21日に開催予定の正副部会長会議に提出される。
第3回の会議となる最終会合では、これまでに部会委員らが提案した「基本的考え方」(案)の修正文案54項目について、事務局処理方針とするか、委員意見として再修正するかの検討を行った。
このうち、真栄田義世委員(石垣市経済振興公社専務理事)から提案のあった離島旅客船再開の追記で、県事務局は那覇-先島間の利用者が1%程度であることや、身体的理由で、飛行機の搭乗が不可能な人への貨物船利用が決定したことから、同案に公費をつぎ込むことよりも航空運賃低減化に向けた施策展開が妥当だとし、文言修正を行わないと説明した。
これに、外間守吉委員(与那国町長)は「お金のない若年層の観光客が減っている。先島のIターン者は、かつて船便を利用して島を訪れた若者たちだ」と述べ、国に規制緩和を働き掛けてでも運航を再開すべきと主張。同案は部会長預かりとなり、正副部会長会議で審議することとなった。
このほか審議では、島袋純副部会長(琉球大教授)が「第3次、4次の振計と同様、国に陳情する形の計画案となっている。県独自の主体性が打ち出されていない」と厳しく指摘。「メニューの羅列で、事業目的が明確になっていない。計画を実施し、管理することを総括して考えるべきだ」との批判があった。
同部会案は、21日の振興審議会正副部会長会議を経て、7月中に全体意見を集約し同月下旬に仲井真弘多知事宛て答申する。同答申を基に実施計画に当たる「新たな計画」(案)の策定作業に入る予定だ。