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行雲流水
2011年6月15日(水)23:47

台風と共済事業(行雲流水)

 台風2号による農産物被害額は26億円に上った。今年度の農業生産目標額(175億円)の15%が早くも失われたことになる。なかでも、葉タバコの損害額16億円は収穫予定額の53%に相当し、打撃は深刻だ。移出用作物だっただけに、宮古の経済全体に及ぼす影響も大きい


▼5月の台風は珍しい。最大瞬間風速50・4㍍は、5月の風速としては観測史上最大だという。だが宮古の生活史は、気まぐれな自然と共生していくための知恵くらべであったともいえる。あきらめてはならないだろう

▼昔の住居は台風に弱かった。石垣を積んだり、フクギを植えたりして台風をしのぐ工夫をした。復帰後は鉄筋コンクリート住宅の普及により台風を克服した。その代わり、屋敷の杜への関心は薄らいだ。農作物についても、先達はサトウキビの品種改良に取り組み、台風に強い品種の普及に努力した

▼後進に託されている課題もあろう。植樹による効果的な防風対策、ハウスやネットによる防護策などを真剣に検討し、普及する役割を誰が担うのか。個々の農家にまかせっきりでは、改善はおぼつかない

▼風洞実験による防風対策研究、効果をあげている実例の調査研究、モデル事業の実施などを立案し、国・県に予算要求すべきだ

▼他方、共済制度の改善や活用についても真剣に考える必要がある。共済制度は、台風常襲地帯にあっては必要不可欠な保険制度だ。ちなみに、共済制度への加入率は家畜70%、サトウキビ39%、園芸29%だという(5月27日付本紙報道)。

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