備えと正確な情報入手を/心構えや意識高揚呼び掛け
「震災から学ぶ」テーマに3氏講演
市民の防災意識の高揚と災害に関する知識の普及を図ることを目的に「防災気象講演会」(共催・宮古島地方気象台、県宮古事務所、市)が7日、県宮古合同庁舎で開かれた。下地診療所の打出啓二院長、沖縄気象台地震火山課の森博一課長、沖縄大学地域研究所特別研究員で非常勤講師の稲垣暁氏の3人がそれぞれの立場から震災に対する心構えや防災意識の高揚を呼び掛けた。
共催者を代表して宮古島地方気象台の小林俊彦台長が「3月の東日本大震災は想定をはるかに超えて広範囲に甚大な被害が出た。宮古も過去には明和の大津波を経験している。自分の命は自分で守る。地域はみんなで守るとの意識を持ち防災力の向上を図る必要がある。きょうは3人の話を聞いて意識の高揚を図ってほしい」とあいさつした。
打出医師は、沖縄県の医師会災害医療チームとして3月20日から27日まで岩手県大槌町で活動した体験談を報告。
被災地の写真を紹介しながら津波の被害が想像を絶していたことなどを紹介し、「災害地での医療活動は地域の人たちとコミュニケーションを取ってニーズに沿った医療を提供することが重要」と話した。
森氏は、地震と津波のメカニズムを紹介。「津波は地形によってその高さも変わる」とも指摘し、津波に対する心得として①強い地震、または弱い地震でも長時間ゆっくりとした揺れを感じたときは直ちに海浜から離れ、急いで安全な場所に避難②地震を感じなくても津波警報が発表されたときは直ちに避難③正しい情報を入手④警報、注意報が解除されるまで気を抜かない―と呼び掛けた。
稲垣氏は、「平時から想定外を想定すること」と訴えた。現地入りして確認した東日本大震災の被災状況や被災者心理、日ごろの防災訓練を生かして生存した人たちを紹介し、防災に対する備えと自主的な判断力を磨くよう呼び掛けた。
さらに「災害時、行政を当てにはできない」と指摘し、災害時の避難ルートなどは地域から行政に要請して対策を講じるよう求めた。
参加者らは、3人の講話内容に聞き入り、災害に対する心構えなどを学んだ。