行雲流水
2011年7月11日(月)22:31
アリバイ(行雲流水)
「サスペンス劇場」は視聴者にいくらかの不安と緊張感を与えながら、事件解決の展開を楽しませる
▼多くの場合、殺人事件が起きて、犯人を追うことになるが、動機のありそうな者を捜査線上に乗せて容疑者を絞り込む。まず、容疑者に聞くのは、「何月何日何時、どこで何をしていたか」ということである。事件の起きた日の同じ時刻に、別の場所に居たということが証明されればアリバイ(不在証明)成立ということになって、容疑が晴れる。そのため、身に覚えのあるものは、時にアリバイを偽装し、捜査陣はアリバイ崩しに躍起になる
▼ところで、朝永振一郎の書いた『量子力学的世界像』の中に「光子の裁判」という話がある。容疑者光子は事件のあった時Aに居たことが証明されているのに、自分はその時Bに居たとアリバイを主張、その証拠を示して、裁判官を困らせる
▼実は光子は光量子のことである。光は粒子でありながら、それと矛盾する波動でもあり、隔たった二つの穴を同時に通ることができる
▼そんな不思議な世界も実在するが、人は別の次元で、「香り高い」アリバイを偽装する。A「オナラを出しておきながら自分だと分からせない方法は?」。B「君、オナラぐらい出してもかまわないよ、と言う」
▼そこで終わらないのが宮古人かたぎ。こんな話がある。「何で君の腹具合が悪かったら、僕がピー(オナラ)をへるか」と反論した。要するにガーズウ(議論好き)である。法曹界に多くの人材を輩出しているのは、そのためかもしれない。