行雲流水
2011年7月13日(水)22:44
ホテルと養豚(行雲流水)
沖縄本島の大手観光ホテル業者が養豚業に参入するという。独自の飼料を与えたブランド豚を飼育し、グループ内で食材を確保、安全をPRして他ホテルとの差別化を図るのが目的。名護にある既存の豚舎3棟を借り受けて、最大150頭を飼育する計画のようだ(7月9日琉球新報)
▼ブランド豚を創り出すポイントは、飼料だという。大学の元研究者と共同で開発した乳酸菌発酵飼料で飼育する。乳酸菌発酵飼料には、肉質の向上と臭いを抑える働きがあるという
▼この事例は、畜産業における6次産業化の典型的な例だ。消費者の立場で生産を追究していくと、このような経営形態にならざるをえない。消費者の要望、研究者の技術開発、生産現場の飼育管理をうまくかみ合わせて、品質の向上と流通コストの圧縮を図ることを目指している
▼資本力のある大手ホテルだから、研究開発資金の提供、養豚場の確保がスムーズだったのかもしれない。だが、資金力がなくても意欲があれば、中小零細の生産、加工、販売事業者でも挑戦することが可能だ
▼独立した生産者と研究者と販売者を結びつけて新商品開発に取り組む事業を支援する国の補助制度がある。「農商工連携事業」がそれだ。が、国の認定を受けるためには計画書を作る必要がある
▼計画書作りは、中小零細事業者の最も苦手な分野だ。そこで、役所や商工会議所やJAなど指導機関の出番となる。特に、コーディネーション能力は重要だ。結局、これらの機関の指導力の水準が宮古の産業の発展を左右することに。