宮古・ドイツの相互理解を
日独交流150周年記念で/駐日ドイツ大使が講演
ダンケフェスト2011出席のため宮古島市を初訪問したフォルカー・シュタンツェル駐日ドイツ大使が18日、市中央公民館で、「日独交流150周年とその意義」と題して講演した。ドイツの通商条約などの歴史経緯に触れ、日独間のみならず、宮古との民間交流などの重要性を強調し集まった市民との相互理解を深めた。
シュタンツェル氏は、ドイツ語圏で構成していた中世のハンザ同盟時代にさかのぼって、通商や商船の歴史を説明。1860年にはイギリス、アメリカに続き、オイレンブルク伯爵が率いたプロイセン東方アジア遠征隊が江戸沖に来航し、翌61年には江戸幕府と「日独修好通商条約」が結ばれたにより、今年が日独関係150周年に当たることを解説した。
また、ドイツ商船が宮古島上野宮国沖で遭難した同年、岩倉具視使節団がドイツを訪問したことや、福沢諭吉が使節団としてドイツを訪れた際、武器技術の輸入よりも「学ぶ」ことの重要性を認識したことを強調。理念や精神性の理解が両国間にとって重要であるとし、①市民同士の関係が政府間関係よりも大事②学術的側面の重要性-が相互理解の重要なファクターになるとして、「個々人がしっかりした判断力を持つことが両国間の友好につながった」と述べた。
市民からは、ドイツとアメリカとの関係や、ドイツの原子力事情などの質問が出され、シュタンツェル大使は3月11日の東日本大震災発生以降、ドイツのエネルギー政策も大きな転換期に入り、「安全な原発は存在しないということをドイツ国民は分かってきた」と説明するなど、市民からの質問に丁寧に答えていた。