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行雲流水
2011年8月8日(月)23:10

民謡(行雲流水)

 民謡は民衆の生活の中で生まれ、うたい継がれてきた歌で、共同体の貴重な文化遺産であり、「ふるさと」そのものである


▼このたび、前川流太陽の会の家元・名嘉眞トシ子氏が新作「琉球宮古民謡工工四」第九巻を発刊した。氏は60年余にわたって宮古民謡の研究と門下生の育成につとめるとともに、新作民謡の創作に取り組んできた。氏がこれまでに創作した民謡は600曲におよび、第九巻は、その中から114曲を収録したものである

▼先日、マティダ市民劇場で、第九巻発刊記念公演「島々紀行鳴り響街道」が催され、駆けつけた多くの聴衆は多彩な舞台を満喫、氏の澄みきった美しい歌の響きに魅了された

▼沖縄宮古民謡協会の天久勝義会長によると、名嘉眞さんがこの道に入ったのは、親子ラジオから流れる友利明令(宮古民謡発掘の貢献者で、「宮古民謡」稿本1949がある)のうたう「多良間しゅんかに」の素晴らしさに感動したことがきっかけとなった。その後、直接教えを受けた氏は、師の書き損じ原稿を今も大切に保管しているという

▼阪井秀和さんも友利明令に心酔する一人である。ラジオ番組でも、その心情を熱く語っていた。昭和46年、東京・宮古郷友会の新年会での友利明令の歌を彼は録音、複製したテープを、今も愛好者に提供している

▼よきことが人を結びつけ、人のよきめぐり合わせが、良きものを世に広げていく。今日もどこかで、愛好者のサークルや親しい仲間の酒宴で、宮古民謡の妙なる調べが響いていることだろう。

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