口蹄疫侵入を防げ/関係機関が想定訓練
農場消毒など本番さながら
県農林水産部が主催する宮古地区での口蹄疫防疫実働演習が24日、県宮古合同庁舎とJAおきなわ宮古家畜市場で行われた。県、宮古島市、多良間村の行政機関ほかJAや生産者団体などから約80人が参加し、家畜に甚大な被害を及ぼす口蹄疫について認識を共有。演習では口蹄疫が実際に侵入したことを想定し、防疫ステーションの設置や運営、農場消毒など本番さながらの実働訓練を通して関係機関の連携強化と防疫体制の確立を図った。
この演習は全県的な取り組みで、各地域でそれぞれのテーマに応じた訓練が行われてきた。宮古地区での第3回訓練には県農水部の職員をはじめ県内各家畜保健衛生所、宮古島市消防本部や農業共済組合、土木事務所の職員らが参加した。
はじめに合同庁舎で口蹄疫の発生状況および実働演習の概要説明、防疫ステーションの位置と運営に関する確認などがあった。
宮古家畜保健衛生所の屋冨祖昇主幹は、農場でのウイルス侵入防止対策について説明した。畜産農家の順守事項として①畜舎入り口での人・車両の消毒②関係者以外の立ち入り制限③異常家畜の早期発見・早期通報―を呼び掛けた。口蹄疫だけでなく、一般的な病原体の侵入防止にもつながるなどと訴え、自衛防衛意識の向上を促した。
この後昼食を挟んで家畜市場に移動。参加者が実際に防護服を着用して汚染区域に指定した箇所を消毒した。参加者は機敏な動きで対応し、汚染区を漏らさず消毒した。それぞれ終了後の防護服着脱に至るまで真剣な表情で取り組み、口蹄疫侵入という万が一の事態に備えた。
その他の関係者も演習の様子を見守り、侵入時の連携強化を確認した。
県農林水産部の比嘉俊昭部長(代読)は「宮崎県で発生した口蹄疫では万頭の家畜を殺処分し、地域経済および社会に大きな影響を与えた。被害総額は2350億円に及ぶ。防疫は肉用牛の安定供給を図る上で極めて重要」と話し防疫体制の重要性を強調した。
生産者を代表して宮古和牛改良組合の平良一夫組合長は「宮崎県で口蹄疫が発生したとき、宮古はいち早く侵入防止体制を構築することができた。きょうの実演は発生時の初動訓練。口蹄疫が万が一侵入した場合においても、あきらめずに被害を最小限に食い止めていきたい」と話し、関係機関の一層の連携を促した。