環境変化と寿命の関係に焦点
嘉田教授が多良間島などで調査へ
【多良間】総合地球環境学研究所チーフ教授の嘉田良平農学博士らが27日、環境調査と講演会を多良間島で実施した。調査研究は、崩れつつある沖縄の「健康長寿」と、開発に伴う環境や生態系の変化のつながりに焦点を当てた。講演では「オンリーワンの作物への転換を」と強調。同活動は、多良間島に花木を植える運動を展開している「ふるさとを楽園にしたい会」(豊里勝一代表世話人)が企画した。
調査エリアは、多良間島を含む沖縄全域。嘉田教授は「開発による赤土汚染がなかったころの沖縄では、海草や貝類を日常的に食べていた。これらの食物と寿命の因果関係はあると思える」と今後の研究の具体的内容を示した。
講演は午後7時から、村中央公民館で開かれた。嘉田教授は「従来のサトウキビを中心とした農業では、衰退は免れない」と指摘。生き残るためには、ナンバーワンではなく付加価値の高いオンリーワンの作物を求めなければならないとした。
現代の消費者は安全、安心、健康長寿につながる食物には金は出すと、特徴的なニーズを説明。沖縄に昔からある伝統的な作物に光を当てるのも、今後の農業展開では有望との見方を示した。
市場戦略については、効果を医学的に証明して、優位性を持たせることがポイントになると助言した。
「ふるさとを楽園にしたい会」の花木を植える運動は、1996年から始まり、これまでに植えた苗木は1万4000本を超えた。種類はボリビアデイゴやアカバナイペー、ゴールデンシャワーなど数多い。ノニの木やヤシは、大きく成長し防風林に役立っているという。