新図書館 郷土資料の充実へ/来月、検討委設置
14―15年度着工向け
市は新しい図書館(宮古島市立中央図書館)建設に向け、地域の資料を収集し保存に関しての事項を定める検討委員会を9月2日に発足させる。図書館のソフト面の整備拡充に関するもので、市図書館準備室(仲間正人室長)では「個性的な図書館を打ち出すためにも沖縄、宮古の民俗学や郷土史資料の充実を図っていきたい」としている。市は2014~15年度に掛けて、移転後の宮古病院跡地への建設を予定。計画通り進めば16年度に完成、開館する。
現在の平良図書館にある沖縄・宮古関係の郷土資料の蔵書は5万4870冊。発足される検討委ではこれらの蔵書に加え、市民からの提供資料などの収集に努め、民俗学や郷土史資料の充実を新図書館の目玉にしたい考えだ。
また、資料収集の方針や保存などについて協議するほか、収集した資料を市民が利用しやすい形へ編集し、公開やインターネット上での閲覧も考察、分析する。
並行して「書架・家具整備計画検討委」も発足させる。準備室では「先進地の図書館を参考にしながら、安全でデザイン性に優れたサービスカウンターや書架、机、椅子などを選定していきたい」と話している。
二つの検討委の設置について市民団体「新しい図書館をつくろう会」の下地昭五郎会長は「建設に向け現実的な状況ができる」と喜ぶ。同会では9月14日に千葉県浦安図書館の常世田良館長を招き、講演会を開催する予定。下地会長は「停滞ぎみだった図書館づくりの機運を再度高めていきたい」と話した。
市庁舎等建設委員会は2008年3月に「市立中央図書館建築計画書」を当時の伊志嶺亮市長に答申した。
計画書では、宮古の気候や風土、伝統文化に調和した建物とし「市民に親しまれ利用しやすい優れた図書館」をうたい、障害や年齢にかかわらず、すべての人が利用しやすい「ユニバーサルデザイン」に配慮するような設計を求めた。
建設地(箇所)はカママ嶺公園や市役所下地庁舎などが候補地として挙げられたが、下地敏彦市長は09年11月に「市民から要望の多い『市街地に新築』という意見を踏まえた」として、新築移転後の宮古病院跡地に決定した。
建設費約16億円については合併特例債を活用する方針で、準備室では特例債の適用が受けられる15年度までを「着工のタイムリミット」として位置付け、計画を進める方針。
現宮古病院の土地は国有地などで、市は建設予定面積の3000平方㍍の購入に向け、国に計画を示しながら交渉を進めている段階だ。
合併特例債 合併した市町村が行う事業などについて合併後10年間に限り、その事業の財源として調達できる地方債のこと。事業費の約95%を借り入れることができ、その元利償還金の70%が普通交付税によって措置される。新葬祭場「宮古島市斎苑」(事業費約9億4000万円、11年5月供用開始)も特例債を活用して建設した。