企画・連載行雲流水
2011年9月1日(木)9:00
シンガポールのメーン通りで(行雲流水)
シンガポールのメーン通りで感じ入ったのはわが国の沿道では当たり前の光景になっている電柱が1本もなくしたがって頭上の景観を損ねる乱雑な送電線もなかったことだった
▼広大な歩道にたばこの吸いがらやごみがまったく落ちていなかったのも定評通りでごみのポイ捨てには罰金がつくという。バスの窓からガムの包み紙を投げ捨てた日本人観光客がパトカーの警官に検挙されたという話は誇張ではなかった
▼清らかな街路は枝張りたくましい大樹の緑陰にやさしくつつまれており林立するホテルやマンションなど建造物をのぞけば地表はほどよく刈りこまれた緑鮮やか芝生に覆われている。むき出しの地層を目にすることができたのは工事現場のみ
▼行く先々目に飛びこんできたのは咲きほこる多彩な草花と寄せ植え観葉植物のみごとな錦(にしき)模様だった。花には蝶。耳には遠く近く野鳥のさえずりも心地よく入ってくる
▼公園や植物園を紹介しているのではない。年平均気温・4度のシンガポールの全土にはそんな美しい景観が国策として保たれている。同国が田園都市・ガーデンシティー・東洋の真珠とたたえられるゆえんである
▼観光立県を唱えながら宮古島の主要道路の街路樹根周りをコンクリート状の無粋な白材で埋め固めて雑草対策と言い訳する県政とは大違い。観光理念高き国シンガポールがうらやましい。