「宮古んま牛」事業が好調/和牛改良組合・JA
出荷78頭、枝肉取引が奏功
宮古和牛改良組合とJAの「宮古んま牛」(繁殖供用を終えた牛)出荷事業が好調に推移している。昨年からJAおきなわ宮古地区畜産振興センターを通して本格化させている枝肉取引が奏功、2010年度は前年度に比べて3倍となる78頭の出荷があった。飼養管理次第で高値を付ける枝肉取引の優位性をはじめ牛汁やハンバーグなど加工商品の好調な売り上げも出荷頭数の増加を後押しした。同事業を推進する同組合とJAは学校給食での取り扱いを検討しており、んま牛の価格の底上げと並行して地産地消を推進する方針だ。
んま牛は従来、肉用牛競り市場への出荷か庭先取引で売買されてきた。競り上場頭数は年間で800~900頭に上るが、価格は子牛の1頭平均30万~40万円に対して3万円と安値で取引され、各地から来場する購買者はほとんど手を付けないのが現状だ。
こういった牛を少しでも高く買い付け、農家所得の向上につなげようと同組合やJAが宮古んま牛の出荷販売事業要領を策定。競り市場への出荷以外に、直接の枝肉取引という新たな流通ルートを確保して農家の選択肢を増やした。
競りに上場しない農家はJAに枝肉取引での出荷を申し込み、精肉は沖縄本島で処理、ハンバーグなどの加工肉は宮古食肉センターで解体される。解体処理後はんま牛加工商品を製造する業者に卸している。価格は県内枝肉相場を勘案して決定しており、出荷牛の品質次第では高値が付く。
同組合とJAは枝肉取引のメリットとして①流通の幅が広がる②販路の拡大に伴い、宮古んま牛価格の底上げが図れる③地産地消の推進④宮古んま牛の出荷増に伴う食肉センターの活用―などを挙げる。
平良一夫組合長は「競りの価格は平均で3万円と厳しいのが現状。流通のルールを作ったのは、生産農家が安定した所得を得られるようにするため。商標登録された宮古んま牛の名を汚さぬように事業を展開していきたい」と話した。
JAは「すべての農家まで情報が行き渡っていないので周知していきたい」としており、出荷販売事業の周知を徹底する方針だ。
出荷できる農家は、和牛改良組合員のみ。対象牛は移動履歴が明確にされ、申し込み農家が6カ月以上飼養管理した牛となる。他から購入した牛は原則として対象外。精肉販売する牛の出荷体重はおおむね600㌔、牛汁、ハンバーグなどの加工用の牛はおおむね400㌔としている。
出荷の申し込みと問い合わせはJAおきなわ宮古地区畜産振興センター(電話72・4680)まで。