ソルガム収穫始まる/多良間村
牛の飼料性など調査
【多良間】ヤンマー沖縄(宜野湾市)と多良間村が連携して進める地域循環型のバイオマス(生物資源)活用事業で試験栽培された飼料作物「ソルガム」の収穫が、2日から始まった。サトウキビに似た形状で、高さが約3㍍、茎周りが22㍉。短く切断して乳酸菌を散布しビニールで巻き発酵させている。将来的には同ソルガム搾汁をバイオエタノールの原料にする構想を描いている。
ソルガムは、地下水に悪影響を及ぼしている窒素分の吸収力が強いとされる。村は残留窒素の多いキビ畑の窒素をソルガムで抜き取ろうと、収穫後地に5月に種をまき今回収穫となった。
機械はコーンハーベスターを沖縄本島の会社からリースした。収穫予定面積は6㌶。初日は8品種のうち「ソルガム6号」を収穫した。
反収は干ばつが影響し、当初予定していた7㌧を下回る約4㌧。沖縄本島の試験結果では反収は、年2回収穫で約15㌧程度としていた。ブリックスは12~14度と、かなり低かった。
ヤンマー沖縄と村は今後①多良間に合った品種選抜②栄養成分分析③牛の嗜好(しこう)性④生産性─などを調査する。
ヤンマー沖縄は栽培面積が50㌶程度に増えた段階で、次のステップのバイオエタノール生産の検討に入りたい考え。
仮に農家や行政の同意があって事業化となった場合、当初の年間生産量は1500㌔㍑を見込む。1㍑当たり80円とした年間売り上げは1億2000万円を試算する。
エタノールの製造に使うエネルギーは、発酵残さや牛ふんをメタン発酵して確保。最後に残る発酵消化液は液肥にし、化学肥料を抑制した地下水に優しい農業を描いている。
現在村内では、約300㌶で牧草が栽培されているが、50㌶をソルガムに変えた場合の年間飼料生産は、現在の約1・5倍の7500㌧を見込む。牛の飼養頭数も大幅に増やせるとしている。
同事業を担当する板谷勉ヤンマー沖縄農機営業部環境グループ部長は「小さい離島で、廃棄物を出さない循環型モデルができると、全国にも応用できる」と事業実現に期待している。
事業名は「緑と水の環境技術革命プロジェクト」。農林水産省の委託を受けて実施している。