多様な「宮古フツ」を再確認/方言シンポジウム
保存・継承の決意新た/研究チームが文化講演
国立国語研究所と宮古島市教育委員会が主催する文化講演&シンポジウム「語ろう 宮古島の方言」が6日午後、市中央公民館で行われた。宮古島の方言を調査しているプロジェクトチームのメンバーが宮古方言の魅力を語り、独特の言語文化を有する貴重な環境の保存と継承を訴えた。会場の参加者は研究者の調査結果に耳を傾けて多様な宮古フツ(方言)文化を再確認し、次世代への継承に向けて決意を新たにした。
国立国語研究所と琉球大学、沖縄国際大学の教授らで構成されるプロジェクトチームは今月3日から宮古島での調査を実施。約40人が各地で受け継がれてきた方言を聴取し、併せてルーツと文化を探っている。
シンポジウムではチームを代表して沖縄国際大学准教授の西岡敏さん、オークランド大学上級講師のウエイン・ローレンスさん、京都大学非常勤講師の林由華さん、京都大学教授の田窪行則さんがパネリストを務めた。司会は国語研究所教授の木部暢子さん。
西岡さんは、ある物語に学生たちが方言の音声を吹き込んで仕上げた紙芝居を上映し、方言を習得しようとする学生たちの学習意欲を紹介した。
その上で「若い人が継承することが大切。このような取り組みを通して、若い人が楽しみながら方言に対する意識を高めてくれれば良いと思う」と話した。
ウエインさんは、宮古で日常的に使う「がま」という言葉を取り上げた。「これは小ささを強調するときに使う言葉だが、宮古だけは動詞に付けて使用することがある。これは八重山や沖縄本島、奄美にはない傾向と言える」と宮古独自の言語文化を強調した。
また「宮古でおもしろいのは部落ごとに発音が違うところ。発音、文法、言い回しが違うところは非常に興味がある」と述べ、多良間島にも二つの発音があることを紹介した。
林さんは、流ちょうな池間民族の方言を披露し、今も地域に残る貴重な言葉の継承を強く訴えた。地域によって発音などが違う宮古島方言については「元々の言語から多良間島の方言に分かれた後、伊良部と池間に分かれ、そこからさらに本島各地の方言に分かれたのではないか」と話した。
田窪さんはデジタル博物館を紹介。西原の方言だけでなく歴史や文化も盛り込んだという。方言で語る地域住民の動画には字幕を付けて誰でも理解できる内容に仕上げた。「どうすればこの方言を残していけるのかを考えた。その結果としてデジタル博物館を作ってみた。完成した段階で西原の許可をもらい、世界に発信したい」と述べた。
宮古島方言の魅力について木部さんは「言語の違いであり、どうしてこんなに違うのか。このルーツを突き止めたい。言葉の先祖を探したい」と話した。参加者には「皆さんはバイリンガルになれる。それが方言を守ることにもなる」と方言の保存を促した。