3漁協統合、本格検討
検討委員会を設置 負債処理が焦点
宮古島、池間、伊良部の3漁業協同組合の統合を検討する市漁協統合検討委員会が8日、設置された。同日午後、3漁協の代表をはじめ、県、市、県漁協連合会、県信用漁協連合会、農林中央金庫などの代表に委嘱状を交付。下地敏彦市長が委員長に就いた。今月中にも設置する幹事会で具体的に議論して統合プロセスを模索する。3漁協それぞれが抱える多額の負債処理が焦点になりそうだ。
この日の委員会は非公開で行われ①3漁協の実情②3漁協の今後の方向性③新漁協を設立する場合の3漁協の問題点-を出席した各委員が把握した。
3漁協の実情では、それぞれの厳しい実態が浮き彫りとなった。宮古島漁協は現時点において債務超過の状態は解消されていないとし、「経営は厳しい」とする指摘があった。
池間漁協は「漁協としての購買事業の売り上げがほとんどなく、事業の継続はさらに厳しくなるものと思われる」とし、漁協としての事業目的の達成は困難とする見通しが示された。
伊良部漁協は7100万円の元本と8億4200万円の利息および遅延損害金を抱えている実態が報告された。現在の事業および資金繰りは「好調」としているが、「効率的な経営改善に具体的に取り組む必要がある」としている。
この実情を踏まえて▽3漁協を統合、新たな漁協を創設▽伊良部漁協は速やかに再生手続きを行う▽池間漁協と宮古島漁協は単独経営が厳しいため伊良部漁協の再建後に統合を行う-とする方向性が示された。
この場合の問題点としては①県、市から損失補償を受けている宮古島漁協の取り扱い②3漁協が有している財産の取り扱い③宮古島漁協が統合した場合、市の財産であるクルマエビ養殖施設などの取り扱い④統合した場合の組合員の処遇と債務超過の取り扱い-などが挙がった。
3漁協の方向性および問題点は、今後の幹事会での具体的論議を経て同委員会で最終判断を下す。
ただ、統合に向けては3漁協組合員の合意が必要になる。加えて3漁協合わせて10億円以上に及ぶ累積赤字額の処理という課題も抱えており、今後の協議は紆余曲折が予想される。
下地委員長は「3漁協とも経営が非常に厳しく、このままでは自立できなくなる恐れがあるほど危機的な状況にある」と指摘。「今後の漁業振興のためには宮古島一円という形で3漁協を統合し、効率的な運営に努めた方が良いと思う」などと話した。