下水道加入率57・4%/宮古島市
県内11市中9番目/「自費工事」で伸び悩む
宮古島市における公共下水道の加入率(2010年度末)は57・4%で前年度に比べ0・5%微増したものの、県内11市中9番目と低水準であることが市下水道課のまとめで分かった。各戸から下水道管に引き込む配水管の工事費が、一世帯平均25万円掛かることなどが伸び悩みの主な背景となっている。同課では、加入していない家庭からの排水が環境に悪影響を及ぼす恐れもあることから、下水道管が整備されている地域の市民に早期加入を呼び掛けている。きょう10日は、下水道の役割や下水道整備の重要性などについて理解と関心を深めることを目的とした「下水道の日」。
公共下水道の整備は平良西里、下里、東・西仲宗根、荷川取などの人口密集地の地域を対象に1990年から本格的な事業が始まった。年間事業費は約1億5000万円。
市の全体の整備計画面積は839㌶。このうち、認可面積(国の補助が受けられる面積)は477㌶で整備率は34・7%となっている。
認可面積の整備に対する加入率は市町村合併した05年度は42・7%だったが▽06年度53・9%▽07年度56・8%▽08年度58・1%-と年々上昇。09年度は56・9%と低かったが、整備エリアが学校周辺で住宅が少なかったことが原因だった。
下水道課では整備面積が増えていくに連れ、加入率も伸びていくものと期待している。
ただ、各戸から下水道管に引き込む排水管の工事は自費となるため「家の新築と同時に工事する」「現在は不便を感じていない」などの理由で、加入を先送りする家庭が多いという。
下水道法では 下水道管に接続できるようになってから3年以内に引き込み管の工事をしなければならないが、罰則規定がないことから加入率が伸びない要因となっている。
市では加入促進を図るため、05年から30万円を上限に工事資金を無利子で融資する制度を設けた。しかし「これまでに2~3人しか活用していない」(市下水道課)のが現状だ。
一方、公共下水道とは別に進められる農村、漁村地域での「排水事業」は加入率が高い。
農業集落排水事業は▽宮島▽高野▽比嘉▽川満▽上地▽与那覇-の6カ所で163㌶整備され、加入率は10年度末で74・4%。池間、久松地区の漁業集落排水事業(整備面積78㌶)も加入率60・5%と公共下水道に比べると高くなっている。
これは合併前の自治体が加入率を伸ばすため、家庭に引き込む工事費を一部補助したことなどが要因とみられている。
下水を地中や道路側溝に流すと海洋汚染や地下水への悪影響が予想されることから、市では公共下水道への加入を呼び掛けている。
市下水道課の仲宗根明課長は「自治会から下水道管の整備要請もあり、少しずつではあるが市民の意識は高まっている」と話し、下水道管の整備が終了した地域には加入を促していく考えだ。