汚濁防止に最善尽くす/市と申請人が調停結ぶ
公共工事
宮古島海中公園建設工事に伴う周辺海域の水質汚濁について県の公害審査会に調停を申請していた市内エコツアー会社の代表社員と、被申請人である宮古島市の下地敏彦市長は12日、市役所平良庁舎で同審査会調停委員会(加藤裕委員長)立ち会いの下、「今後の公共工事では汚濁防止に最善を尽くす」などとする調停調書を結んだ。
調停の申請人は「エコツーラボ合同会社」の猪澤也寸志代表で、今年1月、海中公園工事を行う市に対し▽水質汚濁防止幕の適正設置と維持管理の即時実施▽構造物が安全であることを計算した設計図書の公開―などを求める申請を県公害審査会に提出。調停委員会による4回の審査を経て、申請人、被申請人双方が調停締結に合意。8月30日に開かれた市議会臨時会で調停案の受託について議会議決を受けたことから今回、調印が行われた。
調停の内容は、海中公園工事に際し、汚濁防止幕の破損により工事で発生した濁水を拡散させた事実を認めた上で、今後行う公共工事では、海洋の水質汚濁を防止するために工事の計画、施行などに最善を尽くすことを確認している。
猪澤代表は「今回の海中公園工事で、防止幕では水質汚濁を防げないことが分かった。確実に防げる計画をしっかり立て、かつ工事の段階でも状況に応じた管理をすればサンゴの死滅や水質汚濁はなくなる。市が最善を尽くすことは市民や島の自然にとっても大きな成果となると思う」と語った。
下地市長は「調停案の受託について議会から議決をもらったので今回、締結した。調停は海での工事を行う時には水質汚濁させないよう十分、注意するようにという当然の内容。今後、十分に注意をした工事に努めたい」との考えを示した。
猪澤代表は、国の公害等調整委員会に対し今年2月、海中公園建設工事による水質汚濁とサンゴ死滅との因果関係について、法的な判断を求める原因裁定を申請。7月には周辺海域で同委員会がサンゴ生息状況を調査。今後は年内にも第1回委員会が開催される見通し。今回、猪澤氏と市が交わした県公害審査会調停の中で、調停での合意事項は原因裁定の手続きを妨げないことも確認している。