宮古への鍛冶伝来は14世紀/奄美沖縄文芸学会シンポジウム
下地氏が御嶽伝説基に見解
2011年度奄美沖縄民間文芸学会宮古島大会のシンポジウムは「宮古の鍛冶伝承」をテーマに行われた。パネリストの下地和宏・宮古郷土史研究会長は、宮古への鉄製品の伝来時期について、基本的には14世紀になると論述し、稲村賢敷の「13世紀中ごろ以降説」と少し違った見方を示した。立命館大学の福田晃名誉教授が基調講演。下地氏と沖縄国際大学の狩俣恵一教授がパネリスト、コーディネーターは鹿児島国際大学の山下欣一名誉教授と沖縄尚学高校の上原孝三教諭が務めた。
下地氏は鍛冶伝来の伝説がある御嶽と、関連する遺跡の出土品年代から伝来時期を導き出した。
伝説の御嶽は、久米島から漂着した兄妹の妹が、子どもを連れて久米島の父に会いに行った際に父から贈られた「黒がね・巻物」を、兄が活用して鍛冶屋を起こして農業を発展させたという伝えのある「船立御嶽」(平良)など5カ所。
5カ所の御嶽と関連する遺跡として①船立堂②伊良部元島③友利遺跡④運城御嶽遺跡(多良間)-の4カ所を示し、生成年代はいずれも世紀とした。ただ、友利の遺跡については白磁が発見されていることから、14世紀後半の可能性も示した。
遺物は鉄のかすや、フイゴの付属品、鉄製の鏃、小刀、小さい槍鉄釘、鉄鍋などが出てくるという。
福田氏は鉄文化は、紀元前3世紀から始まる小国家の権力と深い関わりがあったと指摘。5世紀の大和朝廷を例に挙げ、その権力を支えたのは刀剣や鉄製品だったと見解を示した。