合併から6年 下地敏彦市長に聞く
人材育成が重要施策/清潔な環境づくり展開へ
宮古島市は10月1日で合併6年を迎える。五つの市町村が一つとなり、効率的な行財政運営や広域的な街づくりを目指しているが現状はどうか。国や県に頼らざるを得ない脆弱な財政、旧平良市街地と旧町村との格差など抱える課題は大きい。地域の活性化につながると言われる学校統廃合の議論は緒に就いたばかりだ。合併6年を機に、宮古島市が抱える課題や今後の展望を下地敏彦市長に聞いた。
-合併から6年だが、合併効果としてはどのような事が挙げられるか
財政規模が大きくなったことで、旧市町村ではできなかったきめ細かな施策が展開できるようになった。保育料や乳幼児の医療費助成など、市民が安心して暮らせるような施策が挙げられる。
合併前は、市町村ごとで実施していた大型公共工事も、合併後は島を一つとしての視点で捉え事業を進めることができる。効率の良い事業ができるようになった。
-合併して6年だが宮古島市民としての一体感というのが希薄に感じられるが
旧市町村の長い歴史に培われてきた精神があり、宮古島市民としての意識の共有は短時間ではできない。
マンゴーや牛、海族などの各祭り、トライアスロン、マラソン、ビーチバレーなどのスポーツ大会は、島全体で一つのイベントを実施している。それに参加していく中で、徐々に市民の意識が形成されていくと思う。
また、島から一歩出れば宮古島市民であるということを意識する。島外の人たちとの交流を通して意識は段々と高まっていくのではないか。
-市の行財政改革は進展しているのか
合併当時の市職員数は約1000人だった。現時点では約120人を削減した。今後もスリム化を進め、3年から5年以内に職員数を830人から820人程度にしたい。
スリム化したその人件費は事業費に振り分けることができる。現在の宮古島市がいろいろな事業ができているのも行革を進めているからだ。
-職員の不祥事が多いが意識向上への取り組みはどうなっている
公務員である、市民の税金で生活をしているという意識をしっかりと持たなければいけない。
まずは社会人として当たり前のことを当たり前にやるということを身に付けてほしい。新採用職員にはその部分を特に強調している。
毎年4月に人事異動を行っている。これまでは一つの部署で長期間にわたり異動しなかった職員もいたが、原則3、4年で異動対象という人事ローテーションを組んでいる。
その中で、さまざまな意見をぶつけ合い切磋琢磨しながら資質の向上を図っていけばと思っている。
-人口流出など旧平良市街地と旧町村部に格差があると指摘されているが解消方法は
個々の市民が生活の利便性を求めて自らの意思で移動する。特に若い人が利便性のあるところへ流れていくのは誰にも止めることはできない。解決しずらい問題だと思う。
では、そのまま手をこまねいているのかというと、そうはいかない。
道路整備や公民館建設など、それぞれの地域にぜひ必要という事業は実施している。大きなプロジェクトを進める場合、旧町村部で推進しそこを拠点にしていきたい。
具体的には天然ガス事業や県立総合運動公園、団地をどこに建設するかだ。
そういった大きなプロジェクトを島全体の均衡ある発展ができるような形で配置したい。
-学校の統廃合が大きな議論になっているが
できるだけ良い教育環境を子どもたちに作ってあげたいというのが私の願い。
市総合計画が平成18年にできた。その中で学校の規模適正化を検討するということを当時の議会の総意で決めている。
それを受け、計画を具体化させなければいけない責務を持っている。私はせめて複式学級だけは無くしたい。学校を統合するのは目的ではない。教育の環境を整えるためには複式学級を解消した方が良いと考えている。
宮古島市は人材を育てて生きていくしかない。優秀な人材を育てることはとても重要な施策。そのためには、今いる子どもたちの教育環境を整えないとだめだと思う。
地域の活性化の一翼を学校が担っているのは分かるが、地域の活性化はそこに住んでいる大人が中心となり、どうしていくのかまとめていくべきだと思う。
-目指すべき島づくりは
おだやかな島にし、精神的に安定するというような島にしたい。
それには、清潔な環境の島づくりが必要。その一環として花をたくさん植える花の王国事業を展開している。
きれいな環境をつくるというのは地道な活動になるが、そこに力点を置きたい。きれいな環境空間に、わざわざごみを持って行き捨てる人はいない。そのことでポイ捨てや不法投棄も少なくなる。
自分たちの生活圏、公共の道路も含めて昔はみんなできれいにしていた。それが今では、役所に頼っているのが多く見られる。
みんなで良い島をつくろうという気持ちで自然にやってきたことが無くなっているのは残念。今一度、環境美化を含めた島づくりを唱えていきたい。