牡丹社事件で国際会議と慰霊祭/11月に台湾で
宮古島市民に参加呼び掛け
【那覇支社】1871年に台湾の屏東県牡丹郷に漂着した宮古島民54人が原住民族のパイワン族に殺害された牡丹社事件(宮古島民遭難事件)から140年の節目に当たる今年、台湾の文化庁に当たる文化建設委員会などが国内外の専門家を集め国際学術会議と慰霊祭を11月に開催することが27日、分かった。
主催は同委員会のほか、原住民委員会、台湾研究基金会などの政府機関が関わり、同事件の犠牲者の慰霊祭を催す予定。宮古島市に在住する犠牲者遺族を含め、研究者や一般の参加を広く呼び掛けている。旅費の一部を台湾側が負担する。
牡丹社事件については、10年前の01年に台湾側訪問団が来県し、犠牲者の墓地を参拝し遺族に謝罪したことで「和解」が成立した。台湾から18人が訪れ、那覇市護国寺にまつられた犠牲者の墓前にパイワン族の儀礼を行って犠牲者の冥福を祈るなどした。以降、同事件を乗り越えて沖縄、宮古と台湾との交流が続けられている。
沖縄大学大学院の又吉盛清客員教授(沖縄・東アジア学)によると、牡丹社事件は琉球処分や、同事件を大義名分にした明治政府の台湾出兵、日清戦争開戦など、その後の近代日本の軍部台頭と植民地支配の口実に利用された。
又吉教授は、同事件が東アジアの歴史に重要なターニングポイントとなることを指摘した上で、台湾での学術会議と慰霊祭の開催は、「両地域の愛と平和をテーマにした友好親善をさらに深めるということで、非常に重要な意味を持つ」と話した。
11月24~27日までの日程で、学術会議と慰霊祭が行われる予定だ。問い合わせ先・090・2397・9666まで。