ミカンコミバエ、石垣で確認
県が応急防除 86年根絶の果樹病害虫
1986年に県全域で根絶されたミカンコミバエがこのほど、石垣市内の比較的狭い範囲で断続的に7匹確認された。県など関係機関が応急防除を実施している。県病害虫防除技術センターによると、宮古地区では確認されていない。
ミカンコミバエは、果樹の果実に卵を産み付ける習性があり、1~2日後に発生する幼虫によって果実そのものが食害を受ける。
ミカンなどのかんきつ類だけでなく、マンゴーやパパイアを食害するほか、トマトやピーマンなどの野菜も寄主とされている。
食害を受けた果実は商品価値を失うため、県など関係機関は根絶後も定期的なトラップ調査を実施して発生を防いできた。
石垣市のミカンコミバエは9月29日から10月24日の間に石垣港周辺2㌔の範囲で断続的に確認された。
病害虫防除技術センターによると、今回のように比較的狭い範囲で確認された数としては近年最多。石垣市民に対し、発生への注意と防除に対する協力を呼び掛けている。各調査も強化して万全な対策を取る。
ミカンコミバエは1919年、沖縄本島の嘉手納で確認された。22年にはかんきつ類の県外出荷が禁止されるとともに、果実の被害が多発。果樹振興にとって大きな阻害要因となった。
72年に根絶防除事業がスタートした。成虫に正常な交尾の機会を与えない「雄除去法」を用いた結果、82年に沖縄群島で根絶、84年には宮古、86年には八重山で根絶に成功し、県全域のミカンコミバエ発生地域指定が解除されている。