TPP参加阻止が重点/県きび対策本部
国、県に要請行動展開へ
県さとうきび対策本部(小那覇安優本部長)は16日、JAおきなわ宮古地区本部に生産農家らを集め、2011年度サトウキビ運動の方針を説明した。環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加阻止を重点目標に掲げ、国や県に要請行動を展開していくことを示し、宮古の生産農家へ参加を呼び掛けた。同本部は、野田佳彦首相がTPP交渉への参加意思を正式表明し、関係国との協議に入る方針を示していることについて「諦めるわけにはいかない。断固反対の姿勢を貫く」と述べた。
説明会には生産農家ほか、行政やJA、製糖会社、農業共済組合などから約100人が参加した。
小那覇本部長は「TPPへの参加交渉を阻止するのが私たちの基本的な考え」と述べ、各地域でTPP問題を明確にし反対運動を拡大していく方針を示した。
県が試算したTPPが及ぼす農林水産業への影響額は総額1420億円の減少。宮古地区では、キビと肉用牛を中心とした直接影響額は86億円、関連産業を含めると316億円になると見込まれている。
このような情勢を踏まえ、同本部では「キビ政策の根幹を揺るがすTPP交渉への参加阻止」を運動の目標に掲げるとともに▽適切な交付金水準の確保▽生産基盤の強化や品質及び生産性向上-など、増産対策の充実強化を中心に運動を展開していく方針だ。
今後の要請行動の日程については、22日に那覇市の奥武山総合運動場施設内で、生産者代表や関係者による「TPP交渉参加阻止・さとうきび政策確立農業代表者集会」を開催するほか、同日には県知事や県議会議長、内閣府沖縄総合事務局長にTPP参加交渉への反対を要請する。
また、30日と12月1日には農水省や内閣府、国会議員らに、12月8、9の両日は財務省や内閣府などにそれぞれ要請行動を展開する予定だ。
説明会では県が調査した11年産キビは、冬場の低温や干ばつ、5月の台風、病害虫被害によって復帰後最低水準の約66万㌧が見込まれていることが報告された。
JA沖縄中央会農政部の嵩原義信部長は「このような状況の中で、TPP参加となればキビは致命的な打撃を受けるのは必至。特にキビや畜産が中心の地域でダメージが大きい」と野田首相がTPP参加に踏み出すことを懸念。「キビがどうなるかについて政府の対応があいまい。それだけに不安だ」と政府の姿勢を批判した。
同本部の説明会は、15日は本島北部、16日は八重山でも開かれた。18日は本島中南部で開催する。