葉酸の計画的摂取を
二分脊椎防止で講演会
脊椎が先天的に形成不全となり、さまざまな神経障害を発症する「二分脊椎症」。その現状と予防・ケアに関する講演とシンポジウム(主催・日本二分脊椎症協会、共催・同沖縄県支部)が18日、市中央公民館で開催された。津島リハビリテーション病院の近藤厚生院長は「葉酸は赤ちゃんの大切なビタミン」と題して講演。近藤さんは二分脊椎症を予防する葉酸の計画的摂取や学校教育での摂取指導の必要性を強調した。
葉酸はビタミンB群の一つ。1991年に英国のビタミン研究グループが行った調査で、摂取すると72%予防できることが判明したという。1817人の妊婦を対象に摂取群と非摂取群の発生状況を比較した。
妊娠を計画中の女性の場合は、葉酸サプリメントを妊娠4週前から妊娠12週の間、1日に400マイクロ㌘服用することを助言。葉酸は大豆やきな粉、枝豆、アスパラガス、牛や鶏のレバーに多く含まれることも紹介した。米国では、穀物への葉酸添加を義務化したという。
葉酸の二分脊椎防止効果を調べるアンケートに「知っている」と答えた高校、大学生は10%以下。妊婦は39.4%と高かった。「葉酸について学校教育に組み込んでほしい」という、母親からの要望も紹介した。
シンポジウムで「うむやすみゃあす・ん診療所」の竹井太院長は「避けられる病気の予防をしないのはもったいない。しかも葉酸は、そんなに高いものではない」と対策の遅れを指摘。米国では高校、大学生に飲ませているとし、日本も世界レベルまで持っていくことが必要と訴えた。
二分脊椎症は日本では年間に新生児3000人に1人の割合で発生。沖縄は1500~1800人に1人と高い割合になっている。
二分脊椎 脳から命令を伝える脊髄を本来保護するはずの脊椎骨が先天的に形成不全となり、脊椎の中にあるべき脊髄が脊椎の外に出て癒着や損傷するために起こるさまざまな神経障害の状態。